1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03610121
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
馬越 徹 名古屋大学, 教育学部, 教授 (60000030)
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Keywords | 国立ソウル大学校 / 金日成総合大学 / アメリカ・モデル / ソ連モデル / 主体(チュチェ)思想 |
Research Abstract |
本年度(第2年次・最終年)は、大韓民国(以下、韓国)および朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)の高等教育改革に焦点を絞り分析を行なった。 韓国については、解放(1945)後「アメリカ・モデル」による高等教育改革が実施されたが、1970年代になるといわゆる「国籍理念」に基づく自立的な高等教育体制の整備がなされた。特に高等教育の大衆化に対応した高等教育システムの変革が意欲的になされたことが注目される。 一方、北朝鮮においては、解放後、民族幹部と科学技術者の養成に重点を置いた「ソ連モデル」の高等教育改革が実施されたが、高等教育機会はきわめて制限的なものであった。1960年代になると、高等教育機関の大幅な増設がなされ、いわゆる「主体(チュチェ)思想」に基づく独自の高等教育モデルの開発が志向された。 韓国については、高等教育関係資料もかなり整備されているので、かなり分析的考察ができたが、朝鮮民主主義人民共和国については、公表されている資料および研究物がきわめて限られているため、基本法令および代表的論文の翻訳・紹介を行なうにとどまった。 以上のように、両国の関係資料には量的な格差があるため、厳密な意味での比較分析は、現在のところ難しいことが判明した。また、時間的制約のため北朝鮮関係の資料の翻訳・紹介が不十分となったので、これは今後の課題としたい。 これらの理由により、研究論文形式の発表は、平成5年度以降に、順次行なっていきたい。
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