1991 Fiscal Year Annual Research Report
青少年指導者講習会(IFEL)とその影響に関する総合的研究
Project/Area Number |
03610126
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 治彦 岡山大学, 教育学部, 助教授 (50188322)
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Keywords | 社会教育史 / 青少年団体 / 青少年 |
Research Abstract |
戦後民主教育を現実化するために文部省とCIE(占領軍教育部)との共催で8期にわたって実施された教育指導者講習会(IFEL)は、わが国の戦育実践に多大な影響を与えた。本年度は2か年の研究計画の初年度に当たり、青少年指導者講習会に関する文献資料を収拾、整理し講習会の全貎を明らかにすることを目標とした。 IFELの会場となったお茶ノ水大学、東北大学、京都大学、及び九州大学の図書館を訪問し資料の収拾に努めた(但し、東北大学の資料は宮城教育大学に移管されていた)。その結果、『IFEL小史』と60分冊に及ぶ講義録『教育指導者講習研究集録』等の所在を確認した。また、各大学には「IFEL文庫」などと称するおよそ300冊から成る文庫が存在した(大学によっては本調査のおかげでその所在が明らかになった)。これは、1930〜40年代にかけて発行された米国の主要な教育書と昭和20年代の日本の教育関係書である。また、国立国会図書館の憲政資料室の「SCAP/GHQ資料」の中からIFEL関係の資料と戦後復活ないしは新設される各青少年団体の資料をマイクロ・フィルムの形で複写することができた。 その結果、青少年指導者講習会で導入されたグル-プワ-クの方法論が各青少団体活動の方法論の基礎となったことを改めて確認するとともに、YMCAやボ-イスカウトなどの団体ではこれが必ずしも新奇なものではなく戦前に下地があったことも判明した。一方青年団のように日本に固有な団体でかつ戦時中軍国主義に巻きこまれた団体ではグル-プワ-クの受容過程に問題を生じている。次年度は青少年指導者講習会の内容がどのように各青少年団に受け入れられ変容していったかについて明らかにする予定である。
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