1991 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ型大学の創設と国立大学設立運動に関する研究
Project/Area Number |
03610139
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
羽田 積男 日本大学, 文理学部, 助教授 (60156346)
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Keywords | アメリカ / 国立大学 / エドカガ-B.ウェスレ- / チャ-ルズW.エリオット / ジョン W.ホイト / 大学史 / 大学の機能 |
Research Abstract |
平成3年度は、11に示した3編の論文を発表することができた。これらは時代的には、アメリカの19世紀から20世紀初頭までを扱っている。即ちアメリカの大学が世界的な大学へと成長をとげる時代を主題とした。 19世紀後半のアメリカ国立大学設立運動は、ジョン・ホイトを中心に展開された。全米教育協会(NEA)を舞台としてホイトは活躍したが、そのホイトの国立大学設立案は、ヨ-ロッパの大学との競合から生まれた発想である。特に研究機能を重視した、いわば大学院大学の提唱といってよい。 ホイトの鋭く対立したのは、ハ-バ-ド大学学長であったチャ-ルズ・エリオットである。若きエリオットは、なぜ国立大学の設立に反対したのであろうか。つまるところエリオットは国家の支配を恐れたのであり、政治の大学への介入を恐れていた。これは当時最大規模の私立大学の学長としては、むしろ当然の反対であったとしても、この反対論は影響力をもったのであった。 しかし国立大学設立の夢は、19世紀後半の様々な大学改革によって、その夢の内容の多くが実現されたが、その夢自体が減滅した訳ではない。20世紀に入ってからは、ミネソチ大学ウェスレ-教授によって引きつがれ、なお活発な設立運動が展開された。ウェスレ-は、国立大学を国家に直接サ-ビスを提供する大学として構想した。この構想は、20世紀アメリカ大学の社会的機能としてやがて定着する大学観となっていく。 以上3編の論文と通して、19〜20世紀のアメリカの大学が,いかにヨ-ロッパの違大なる大学に追いつき、追い越すかという過程に、国立大学の設立運動の検長を分析することによって明らかにした。
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[Publications] 羽田 積男: "20世紀アメリカにおける国立大学設立論西ーエドガ-・ウェスレ-の国立大学論を中心にしてー" 大学史研究会「大学史研究」. 第7号. 44-53 (1991)
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[Publications] 羽田 積男: "19世紀後半アメリカにおける国立大学設立論争 ーチャ-ルズ・エリオットの反対論を中心としてー" 日本大学教育制度研究所「紀要」. 第23集. 1-24 (1992)
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[Publications] 羽田 積男: "19世紀後半アメリカにおける国立大学設立論ージョン・ホイトの国立大学論形成を中心にしてー" 日本大学教育学会「教育学雑誌」. 第26号. 1-17 (1992)