1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03610151
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
岩鼻 通明 山形大学, 教養部, 助教授 (20167282)
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Keywords | 女人禁制 / 旅日記 / 道中記 / 山岳信仰 / 修験道 / 社寺参詣 |
Research Abstract |
女人禁制は,日本の霊山寺院で行なわれていた独自の制度であるが、本研究は、近世の庶民が記録した旅日記史料から、その実態を究明しようとするものである。 本年度は、新潟・秋田・青森・長野・島根・岡山・宮城・兵庫・京都・大阪・滋賀・和歌山の各府県において、旅日記史料の収集を実施し、各府県で十点前後の史料を入手することができた。 また、霊山の現地調査については、長野県戸隠山および鳥取県大山において実施し、女人禁制に関する伝承や、女人堂の存在地点、女人禁制の道標などを調査した。 旅日記史料については、女性の手によるもの、ないし女性を同伴しているものがかなりの点数にのぼった。これらの詳細な分析は今後の課題となるが、比叡山や高野山などのように厳しい女人禁制が行なわれ、山麗に女人堂が立地している霊山もあれば、熊野三山のように女人の参詣が許されている寺院もあり、さらには戸隠山のように、宝光院・中院は女人も参詣できるが、奥院は女人禁制というように、部分的な女人禁制の存在する霊山もみられるといった地域差の存在することが明らかとなった。 この地域差は、霊山寺院の地理的立地や歴史的背景、さらには巡礼などの信仰との関連などに由来するものと想定されるが、各地の霊山寺院の女人禁制の実施形態を旅日記史料から解明していくことによって、その類型化を試み、女性の旅と信仰の実態を把握する調査研究を進めていきたい。
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