1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03610173
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山里 純一 琉球大学, 教養部, 教授 (50166659)
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Keywords | 南島 |
Research Abstract |
(1)律令制下の南島経営および遺唐使の航路と関連して、きわめて断片的ながら、日本の正史の中に南島関係記事が散見されるが、天平勝宝期の鑑真入朝以後は、全く正史から姿を消す。 しかしだからといって、両者の関係が全く途絶えたというわけではない。記録には現われないが、何らかの交渉が継続して行われたことは十分想像されるところである。そのことを具体的に裏づけるものの一つが赤木の交易である。 こうした観点から研究を行って得られた結論は大略次のようなものである。 冊封副使の記録『中山伝信録』や『琉球国志略』には、赤木という樹木の名が見え、『中山物産考』には、その図と特徴が記されているように、近世において赤木の存在がすでに知られていたが、この赤木が『延喜式』にみえる、南島の赤木であると指摘したのは新井白石である。『延喜式』によれば、南島貢上の赤木は内蔵寮に納入され、内匠寮において加工を施され、内記局で親王の位記軸として使用された。史料的に確実に裏づけられる用途はこれのみであるが、その他、史料に赤木の語が見えるものを参考すると、経軸や刀の柄、また倭琴の脚の部分にも使用されたことが推測される。 南島の赤木はあくまでも紫檀の代用として重宝されたものであろう。 (2)木簡学会で沖縄の呪符木簡について」と題する口答発表を行なった。
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