1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03610220
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
柳田 征司 愛媛大学, 教育学部, 教授 (10036410)
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Keywords | 碧巌録抄 / 抄物 / 林下抄 / 大応派 |
Research Abstract |
本研究は,発掘・整備が遅れている仏書の抄物のうち,宗門第一書としてよく読まれた『碧巌録』に対する抄物を調査・整備し,日本語研究資料としての有効性を明らかにしようとしたものである。 1.調査・整備 (1)未調査の資料ならびに調査不十分な資料を調査する一方,複写を入手して,資料性を解明し,目録を作成した。 (2)抄者未詳のものが数多く存するが,抄者の明らかなものは次の4種に分けられる。 (1)林下抄 霊山□雅講本(京都府立総合資料館本)・春浦宗〓抄本(国立国会図書館本)・笑嶺宗〓抄本(国学院大学本ほか)・景聡興〓講大圭紹琢聞書甲本(松ケ岡文庫本ほか)・同乙本(同前本ほか) (2)洞門抄 大智祖継抄・川曽慧済抄・大空玄虎抄・雷沢宗梭抄・才応総芸抄・貫之梵鶴抄・大休善遊抄 (3)五山抄 岐陽方秀抄 (4)林家抄 林宗和抄 (3)林下僧と洞門僧の抄が多く,五山派の僧が仏書の抄物作成に熱心でなかったことがわかる。 2.日本語研究資料としての有効性 (1)林下大応派の僧は『臨済録抄』も数多く残しておれ,それらとあわせて,口語資料として価値の高いものが少なくない。大応派の抄物言語の研究は未開拓で,今後の利用価値は極めて高い。 (2)林下大応派の『碧巌録抄』は,抄物が一般にそうであるように,先師説を継承して重層的な本文をもつので,その点に配置して利用することが必要である。
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Research Products
(1 results)