1991 Fiscal Year Annual Research Report
厳原町立中央公民館所蔵古典籍目録の作成及び対馬藩の和歌史、国学の研究
Project/Area Number |
03610228
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
渡辺 憲司 立教大学, 文学部, 教授 (00123761)
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Keywords | 対馬 / 厳原町立公民館 / 古活字本 / 朝鮮刊本 / 江戸期版本 / 国文学研究資料館 / 内閣文庫 / 書誌目録 |
Research Abstract |
第1回、7月13〜16日は、予備調査を中心に書庫の整理を行なったが、かなり散佚しており書籍を一括整理するために時間を要した。第2回は、8月16日〜20日迄を前半、21日〜25日迄を後半とし、前半は、棚に典籍を一括整理し、後半ではカ-ド(国文学研究資料館書誌カ-ド)に書籍項目を記載することを始めた。最重要で貴重本扱いとすべき古活字本・朝鮮古活字本を中心に指定典籍を決定した。第3回9月9日〜13日は、江戸期版本中の和書(漢籍、準漢籍)を整理、分類した。猶この時点で、厳原町民の有志より(旧対馬藩儒医、斉藤家)より寄託がありそれら典籍も、中央公民館所蔵となるため今回の整理対象とすることに決定し、当初予定されていなかった調査日数の増加を決めた。第4回11月1日〜5日、引き続ぎ和書の整理を行なった。第5回12月20日〜29日においては、和書整理分について、内閣文庫の分類規準に従って分類作業に力を入れた。2月1日〜4日迄の調査は、本年度分のカ-ド整理を終了する予定であったが、前記の如く増加典籍が多数(約ー4部)であったために目録作成を完了することは困難であった。しかし、既に約7割程度のカ-ド収集作業を終えており、2年計画の初年度としてはほぼ計画を遂行出来得たものと考えている。また既に調査を終えた段階で本館所蔵の古典書籍が、予備調査段階で判明した予想を越えて、対馬の全島部分にわたって、江戸時代の地域文化に深く関与したものであり、また藩士たちが、他藩に比しても数段に学芸・学問に幅広い教養を有していたことが判明した。また約100石程度の藩士の家に、当時(江戸期)既に貴重本として珍重されていた朝鮮刊本が有されていたことなども判明し、朝鮮半島との文化架橋としての対馬の文化水準の高さを示すものがあった。
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