1991 Fiscal Year Annual Research Report
複合形容詞の形態・統語的研究ー複合語の普遍的特徴を求めてー
Project/Area Number |
03610235
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
竝木 崇康 茨城大学, 教育学部, 助教授 (90106740)
|
Keywords | 形態論 / 語形成 / 複合語 / 複合形容詞 / 普遍性 / 主要語 / 派生 / 生産性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、英語の複合形容詞に見られる形態的特徴及び統語的特徴を、個別性と普遍性という両方の観点から明らかにすることである。より具体的に言えば、1.複合形容詞が持つ内部構造はどのようなものか 2.どのような型の複合形容詞が生産的(productive)であるか 3.複合形容詞に付加できる接頭辞・接尾辞にはどのようなものがあるかということに関して、本年度は研究を進めた。その結果、次のような知見を得た。 1.については、まず英語の複合語に共通していることであるが、XとYという2つの語から成る複合形容詞の主要語(複合語全体の品詞を決定し、かつ意味の中核を成す語)は右側のYの方であり、いわゆる右側主要部の規則(Righthand Head Rule)に従う。主要語となる形容詞としては2種類があり、1つは本来の形容詞であり、もう1つは動詞の分詞(ーing,ーed)である。左側のXにあたる語の位置に出てくるのは、名詞と形容詞に限られている。その結果、複合形容詞の持つ内部構造は〔NーA〕_Αと〔AーA〕_Α(Nは名詞を、Aは形容詞を表わす)の2種類だけである。 2.については、〔NーA〕_Αの型が非常に生産的であることがわかった。中でも、統語的に特有の前置詞をとるfree(of/from NP)、resisーtant(to NP)、proof(against NP)などの形容詞が右側に現われる例が多く、とりわけfreeの場合には、好ましくないものはほとんど何でもNの位置に現われられる(cockroachーfree kitchen、sharkーfree bay)。 3.については、類似の意味を持つ接辞のペアのうちの、いわゆる第1類の接辞(例inー、ーity、ーist)ではなく、第2類の接辞(例 unー、ーness、ーer)の方が複合形容詞に付加できることがわかった。(例*inーselfーsufficjent vs. unselfーsufficient、cf.insufficient)
|
-
[Publications] 竝木 崇康: "英語の造語力ー日本語との対照ー" 『日本語学』(明治書院,5月号). 11. (1992)
-
[Publications] 竝木 崇康: "現代英語の複合形容詞" 『茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)』. 41. (1993)
-
[Publications] Takayasu NAMIKI: "Theoretical Aspects of Compounding" 『中尾俊夫博士還暦記念論文集』(リ-ベル出版). (1993)