1991 Fiscal Year Annual Research Report
ベン・ジョンソン再評価ーヒュ-マニズム芸術の復権に向けて
Project/Area Number |
03610242
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山田 由美子 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (50200754)
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Keywords | ベン・ジョンソン / イニゴ・ジョ-ンズ / 視覚と言語 / ウィトルウィウス / チョ-サ- / セルバンテス / 反プラトン主義 / 権利の請願 |
Research Abstract |
ベン・ジョンソンのヒュ-マニズムを再評価する本研究の一年目に当る今年度は、第一目標として芸術論に関連する資料の収集に力を注ぎ、舞台芸術、美術史、音楽史関係の図書はもとよりオ-ディオ・ビデオ関係の資料を豊富に入手することができた。直接の成果として、ジョンソンの仮面劇と視覚芸術論の関係を扱った論本「ベン・ジョンソン視覚芸術ーーイニゴ・ジョ-ンズとの確執をめぐって」を執筆した。その論旨は、従来言語と視覚の対立に帰することの多いジョンソンとジョ-ンズの確執の原因を、ウィトルウィウスの建築書、ルネサンス絵画に関するジョンソンの言及ならびに絵画・建築に関する資料から再検討し、ジャンルの別ではなく、ヒュ-マニズム対非ヒュ-マニズムの対立として捉えなおした。また、これとは別に、次年度のテ-マであるジョンソン作品の歴史的側面を扱った論文「ベン・ジョンソンの「新しい」宿屋」をまとめ上げることができた。喜劇『新しい宿屋』が、一般に考えられているようなシェイクスピア風のロマンス劇ではなく、権利請願提出当時の英国内の情勢を反映させるために、類似した状況を描いたチョ-サ-とセルバンテスの宿のモチ-フを用いたと主張するものである。音楽関係の資料に関しても、中世のカルミナ・ブラ-ナの影響その他の着想を得ており、次年度以降の発表になんらかの形で活用することが期待できる。
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Research Products
(2 results)