1993 Fiscal Year Annual Research Report
動詞の自他対応をめぐる日本語とエスキモー語の対照研究
Project/Area Number |
03610254
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮岡 伯人 北海道大学, 文学部, 教授 (60002979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早津 恵美子 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (60228608)
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Keywords | エスキモー語 / 日本語の対照研究 / 相対動詞 / 使役構文 / 道具名詞 / 自他対応 |
Research Abstract |
宮岡はユッピック・エスキモー語(南西アラスカ)のとりわけフィールドワークによるデータの分析、早津はおなじくエスキモー語フィールドワークと日本語用例カードの分析によって、両言語の動詞分類の枠組みの精緻化をはかる基礎作業をすすめてきた。 その過程において、両名は、日本語とエスキモー語には動詞形態法上、たしかに重要な差異はあるものの、エスキモー語のいわゆる非動作主的な二項動詞(他動詞にほぼ相当)が、かつて早津(1989など)が明らかにした日本語相対他動詞のもつ意味的ならびに統語的特徴に著しい類似性と平行性を有することを確認した(研究発表欄[11]の雑誌論文宮岡[1992]も、この認識の一端を反映したものである)。その上で、エスキモー語の派生接尾辞-cuun/-ssuunによる道具名詞の形成に非動作主的vs.動作主的二項動詞の対立が関与していることを明らかにしたのが、早津による本研究成果の一部としての「ユピック・エスキモー語の派生接尾辞-cuun/-ssuunについて」である。 一方、かつて早津(1991)は、動詞の自他対応と関連付けながら、そのいう「所有者主語の使役」構文(例、男は目を光らせた)の分析をすすめるなかで、どのような場合になぜ使役形が必要になるかの条件を明らかにしたが、これは、エスキモー語の使役接尾辞-vkar-/-cec-が従属法動詞形において、使役性は含意せずに、単に名詞項を増やすための手段として働く場合と機能的に通じるものであるという認識をしめしたのが、宮岡による本研究成果の一部としての「エスキモー語の使役接尾辞について」である。
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[Publications] 宮岡 伯人: "エスキモー語から見た相対動詞" 『月刊言語』(大修館書店). 21(3). 64-69 (1992)
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[Publications] 早津 恵美子: "受身と使役の接近" 『言語学研究』(京都大学言語学研究会). 11. 1-25 (1992)
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[Publications] 宮岡 伯人 編: "『北の言語 類型と歴史』" 三省堂, 454 (1992)
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[Publications] 早津 恵美子(須賀一好との共編著): "『動詞の自他』" ひつじ書房(予定), 300 (1994)