1992 Fiscal Year Annual Research Report
フランスのブゥルジュ法学派における法学方法の比較検討と近代法史学の生成過程
Project/Area Number |
03620004
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
西村 隆誉志 愛媛大学, 法文学部, 教授 (60208220)
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Keywords | ブゥルジュ法学派 / 法人文主義 / 法の歴史学派 / フランソワ・デュアラン / ジャック・キュジャス / ユーグ・ドノー / 法源理論 / 卑俗法研究 |
Research Abstract |
1.ジャック・キュジャスがフランス諸都市の大学を経ての5ブゥルジュ大学に着任した当時には、すでにこの地において新らたな法研究が始められていたから、それとキュジャス自身の方法論とがどのように関連したのかが、方法ばかりでなく法学説という点でも重要な論点となる。本研究の継続的な自的からすれば、彼の法学研究がブゥルジュの法学派の中にあってどのように意義づけられるかに向かうところであった。しかしながら、その種の比較検討を開始するには未だ個々の法学者の素材そのものの検討が不充分であることを認め、本年度今しばらくはキュジャスの著作、しかも法学研究を開始してまもない初期の方法論を確かなものにするに至った作品の検討が必要であると考えた。 2.そのような著作として(1)1554年11月刊J・アマリトン編『ウルピアーヌス法範に関する注解』(2)1556年2月刊『ユスティーニアーヌス法学提要に関する注解』(3)1556年3月刊『学説集成表題に対する詳論』(4)1557年12月刊『パウルス意見録に関する注釈』(5)1556年4月〜1559年6月逐次刊行の『省察と修正』第1巻〜第5巻のような作品がある。いずれも彼の30代のもので、彼は比較的若い段階で法源研究領域の拡大を目指しているし、ユスティーニアーヌス帝期の素材の注釈に豊富な非法律史料の知見やギリシア語文献の知識を組み入れている。これら個々の検討結果の詳細は未だ途上にあるものも含め順次公にするが、この検討の目的は要するところ彼が法学研究の素材対象としてどれほどまでに拡がりを示しているかを個々の注釈の対象となったテクストにそくして検討することであり、第2回目の彼のブゥルジュ大学就任以前に(彼は生涯を通じ3度にわたってこの地を研究教育の場にした)法へのアプローチについてどこまで新機軸を出すことに成功しているかを明らかにし、後に予定する比較の素材を示すことにある。
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Research Products
(1 results)