1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03620010
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松井 芳郎 名古屋大学, 法学部, 教授 (00022418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 順子 名古屋大学, 法学部, 助手 (00213942)
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Keywords | 国家責任 / 外交的保護権 / 国際標準主義 / 国内標準主義 |
Research Abstract |
平成3年度に科学研究費補助金を受けて本研究に取りかかる前に、申請者松井はいわばその序論というべき論文「伝統的国際法における国家責任法の性格」を発刊している。平成3年度においては国家責任法の法典化に関する国際連盟国際法典編纂会議および国際連合国際法票員会・総会第六委員会関係の資料、ならびに関連の研究文献を収集し、既存の資料と合わせてこれらの整理および分析を進めた。また、国際責任法に対するラテンアメリカ諸国の態度を解明することを目的に、松井と岡田の共同でカルボ-条項に関する仲裁判例の研究を行った。 これらの研究を通じて、当初予定した国際法典編纂会議の作業に関する論文の執筆にはいたらなかったものの以下のような新しい知見をえた。国際法典編纂会議の失敗の理由が外国人の処遇に関する国際標準主義と内外人平等主義の対立にあることはすでに指摘されている通りであるが、この段階ですでに国家責任法の法典化の成功のためにはその努力をいわゆる二次的規則の法典化に絞るべきであるという明確な指摘が行われていた。また、1950年代の国連国際法委員会の失敗の理由は、普通その特別報告者アマド-ルの過度の理想主義に帰されているが、アマド-ルの報告は決して独創的なものでも革新的なものでもなくむしろ伝統的な国家責任法の立場に立つものであって、それがこの時期にすでに明かになりつつあった国際社会と国連の構造変化に対応していなかったことが、この失敗の主な理由であった。
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