1992 Fiscal Year Annual Research Report
「成長」と「環境」のトレード・オフとエネルギー(資源)の最適配置に関する研究
Project/Area Number |
03630037
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
唐沢 敬 立命舘大学, 国際関係学部, 教授 (60149789)
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Keywords | 高度経済成長 / 中東石油 / エネルギー・資源の投入 / 技術革新 / 地球環境問題 / エネルギー・ミックス |
Research Abstract |
平成4年度は、前年度の研究を検討、整理することを前提に、次の諸点について重点的に検討した。 1)戦後先進工業諸国における高度経済成長とエネルギー・資源投資の実態、資源・エネルギー大量生産・大量消費の成立と発展、環境悪化を引き起こした諸要因とその相互関連分析。 2)地球的規模の環境悪化という状況のもとでのエネルギー新情勢と経済成長および環境の相関関係の総合的検討。 3)新しい経済・社会発展のメカニズムのもとでの経済成長と環境保全の両立を可能にするエネルギー・資源の最適配置とは? 4)経済成長および資源・環境問題に関する代表的な経済理論や政策論の批判的検討と新しい理論体系確立の試み。 これらの諸課題について検討を重ねたが、新しい事実の発見を含めて研究の成果を確認できた。周知のごとく、戦後世界経済は、先進工業諸国における重化学工業化とオートメーション化を軸に生産力を飛躍的に拡大し、高度の成長を遂げてきた。このような先進工業諸国の高度経済成長と世界経済の未曾有の拡大を生産基盤で支えたのは、世界的規模での資源・エネルギーの開発と大規模な技術革新である。とくに、豊富な中東石油資源の存在と世界的規模で展開された「エネルギー革命」の果たした役割は大きかった。しかし、これは、他方で各種の環境汚染(公害)を引き起こし、70年代の石油危機を境に資源の枯渇と環境問題を深刻化させ、80年代には地球環境問題の登場となった。その結果、今日、化石燃料消費の抑制とクリーンなエネルギーへの転換が急務となっている。 研究では、戦後の高度経済成長と資源・エネルギー投入と環境問題の総合的分析から、地球環境制約下のエネルギー配置は、化石燃料の消費抑制、省エネと新エネルギーの開発、天然ガス利用の拡大を始めとするエネルギー・ミックス等によってのみ可能との結論をえた。
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Research Products
(1 results)