1991 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス企業の構造的・行動的特徴と内部資本市場の機能:1920ー80年
Project/Area Number |
03630045
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 良隆 東北大学, 経済学部, 教授 (50004198)
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Keywords | 内部資本市場 / 持株会社 / イギリス大企業 / 繊維構造 / 経営階層組織 / 経営資源 |
Research Abstract |
今年度は、第二次大戦以前のイギリス大企業について、1919年と1930年のそれぞれ上位50社を対象とした検討を行った。この検討にさいして、企業の構造と行動は経営資源によって決まる、という仮説的命題を立てた。得られた新たな知見は、以下の3点である。 1 両大戦間期のイギリス大企業においては、持株会社形態をとる企業が増加した。事業活動を主として子会社ととおして行っていたという意味で持株会社とよぶ企業は、両大戦間期の当初は約半数に達し、その後まもなく6割強を占めた。 2 イギリス大企業は、主として資金的資源の配分機能を果す方向に発達した。固定資産に占める子会社株式は、1920年の53%から1930年には60%に推移し、流動資産に占める子会社融資は同じ期間に16%から44%に変化した。事業資金の半分以上が、持株会社によって形成された内部資本市場において配分されていた。この内部資本市場は、企業が投資対象についての情報を確実にするために、子会社群を形成したものである。 3 イギリス大企業は、内部留保を抑えて、配当および株式配当を行い、利益を短期間のうちに株主に分配した。すなわち株主の利益を中心とする行動をとった。これは所有者企業の行動であると考えられる。 当初の仮説的命題にそくして、「イギリス企業にとって中心的な資源はカネであり、イギリス企業はその配分に適合的な組織構造である持株会社を発達させ、株主の利害を中心とする行動をとった」ことを明らかにした。
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