1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03630046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 晴人 東京大学, 経済学部, 教授 (20126113)
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Keywords | 財閥 / 持株会社 / 企業行動 / コンツェルン / 内部資本市場 |
Research Abstract |
平成5年度の研究計画の中心は、関連する分野の研究者との意見の交換の機会をはかりながら、段階的に具体的な分析に入り、全体の研究をとりまとめていくことであった。そのために具体的には、子社会の企業行動という視角から銀行部門と本社の関係や商事部門と本社の関係などの検討を予定し、すでに完成した論文を再構成し、新しい論考を加えて、財閥史の研究についての報告をまとめることを計画していた。 そのため、本年度は研究成果をまとめるため必要な資料などの整理をさらに進めるとともに、これまで執筆してきたいくつかの論文を再検討し、統一的な視点から再構成するため財閥等に関心をもつ研究者との討議や非公式な研究会などを含めて積極的に研究発表等を行うよう努めた。 その成果の一つは、前年度末に草稿をまとめていた「財閥と内部資本市場」と題する論文を、東京大学経済学部日本産業経済研究施設主催のコンファランスの討議を踏まえて完成したことで、この論文は、これまでの財閥本社論が、専ら子会社の統括という点に問題を絞り込んでいたのに対して、本社を中心に形成される内部資本市場が、一方で子会社に相対的に有利な資金調達を可能にすると同時に、本社は機関投資家としてこの内部資本市場の有利性を生かしつつ、独自の蓄積基盤を自らの金融資産の操作を通して獲得していったことを明らかにしたものである。
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