1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03630077
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中居 文治 京都大学, 経済学部, 教授 (90080233)
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Keywords | インフレーション / 財務会計 / 資本椎持 / 貨幣価伎変動会計 / 一般物価水準変動会計 / 債務者利益 / 外貨換算会計 / 為替換算調整勘定 |
Research Abstract |
研究課題の理論的側面では、外貨換算会計の考察の中で、外貨換算会計が、外貨建財務諸表(ならびにその基礎となる取引)を通常は自国通貨建財務諸表に統一換算する点において、国際間の貨幣価値変動に対処する会計として一種の貨幣価値変動会計であることに注目して、一国内の貨幣価値変動会計であるいわゆる一般物価水準変動会計(GPLA)-インフレーション会計、安定価値会計-と対比し、その計算構造を検討した。従来なされてこなかった外貨換算会計の定式化をはじめておこなって、これによって日本の現行外貨換算会計基準の複雑な計算構造を解明した。すなわち、修正テンポラル法は、純利益概念の性格、在外支店換算会計との済合性で問題はあるが、補助的報告でなく財務諸表上に為替変動の影響を反映させながら-為替換算調整勘定は為替変動(貨幣価値変動)を考慮して算定された取引日レートによる「修正値」を決算日レートによる「名目値」にひきもどすために計上される評価勘定たることを解明-、内国返貨価値の変動(インフレ)は考慮しないで、GPLAをとらず名目資本会計をとつていることと斉合的に、外貨価値変動を純利益概念に反映させない点で、現行制度会計では一定の意味をもつことを明らかにした。 次に課題研究の実証的側面では、以前におこなった1985年までの日本の大企業およびアメリカの規模別製造業会社の財務諸表の貨幣価値変動修正計算を1990年まで拡張した。これにより、日本では、インフレ率の低い期間には、純債務者利益が発生していても、修正後利益が名目利益を下まわることが確認され、日本、アメリカとも長期間の平均的修正値は各項目とも追加データいかんにより大きく変動することが示され、一般的傾向はとらえがたい。これら修正結果については、掲載誌等の都合で次年度に発表の予定である。
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Research Products
(1 results)