Research Abstract |
中国剥余定理の,有理整数環上での高速アルゴリスムは,長坂ーHoーShiveにより開発されたが,この数値的検証をUBASiC(PCー98)および,REDUCE(法政大学計算センタ-)により行なった。また一般のユ-クリッド環においても婚適用可能であることを示し,特に,有限体上の多項式環上においては,上記コンピュ-タにおいて,実例を計算した(長坂・布施).これらの結果は,「有限体,符号理論,および通信と計算の進歩に対する国際会議」(アメリカ・ラスベガス),日本数学会(北大・福岡大)において,中間報告を行なった.これらは,まとめて学術雑誌に投稿予定である. 一方,計算アルゴリスムの基礎理論としては,計算量の問題や,初等関数の特徴付けの問題について,本年度は考察した.まず,アルゴリスムの計算量を,相対化の立場から論じた.つまり,標準的ないくつかの計算量のクラスについて,一意化の問題,および,分離化の問題を定式化し,その相対化版に関していくつかの結果を得た.これは,計算量理論の記述集合論の問題として捕えたものであり,その結果の一部は,「集合論とgeneralized recursion theory」シンポジウム(神戸大)において発表され,論文として発行予定(受理済み)である(田中). また,巾乘関数が,適当な正則条件の下での乘法的関数として特徴付けられるかどうかを検討し,従来得られていた結果の拡張に成功した.巾乘関数のような単数な関数を,より少い性質から決定する特徴付けの問題は,計算アルゴリスムの基礎を一層堅固なものとすることが期待される。この結果は,「数論における解析的・確率論的方法国際会議」(リトアニア・ヴィルニウス),および「解析数論とその周辺」(学習院大)において報告され,論文として発行予定(受理済み)である.(長坂)
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