Research Abstract |
中国剰余定理の,有理整数環における従来のアルゴリスムによる解法と,長坂-Ho-Shiueにより開発されたアルゴリスムによる解法を,同じ問題に対して適用して,パソコン,及びメイン・フレーム上で数値実験を行ない、比較・検証した。また,一般の代数系,特に応用上重要な有限体上の多項式環における中国剰余定理を定式化し,長坂-Ho-Shiueの結果の拡張を与えた。また,数値例により,従来のアルゴリスムと演算時間の観点から,比較・検討した。その結果,有理整数環と有限体上の多項式環のいずれに対しても,長坂-Ho-Shiueのアルゴリスムの優位性が確認できた。(布施・長坂「中国剰余定理の高速演算と数値実験」参照) 計算アルゴリスムの基礎理論については,引き続き計算量の問題,および初等関数の特徴付けの問題を考察した。まず,計算量として,多項式時間で計算可能な命題P[X],そうでないNP[X]に対して,それらが等しくならないような複雑さのクラスについて,クリーネのハイアラーキーの分類によれば,Properなπ_2^oクラスのものであることを示し結果は学術雑誌に投稿中である。また,P[X]≠BDP[X]となるXについて,ベネット=ジルが提出した問題に対して,P[A]≠BPPU[A]であるようなoracle(神託)が存在するならばCo-meagerであることを示し,肯定的な解決を与えた。この結果は,平成5年3月26日に日本数学会年会において講演された。(田中) 初等関数の特徴付けに関しては,正則条件の下で乗法的関数が巾乗関数に限ることを示した結果が,論文,および研究集会報告集の形で公表された。(長坂)さらに,合同計算上での同様な問題についても,研究を進め,京都大学数理解析研究所における研究集会において,発表された。(長坂)
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