1991 Fiscal Year Annual Research Report
中性子非弾性散乱による核子・核間光学ポテンシャルと核の芯偏極の研究
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03640259
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
織原 彦之丞 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (00004432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 慶造 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 助教授 (00134065)
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Keywords | 単色中性子ビ-ム / 高速中性子飛行時間分析 / 光学ポテンシャル / 芯偏極 / 中性子散乱実験 / 中性子非弾性散乱 / ポテンシャル体積積分 / ^<32>S |
Research Abstract |
本報告にかかる研究は、サイクロトロンによって加速された大強度陽子ビ-ムにより単色中性子ビ-ムを生成し、標的核子によって散乱された中性子を飛行時間分析装置によってエネルギ-分析し、非弾性散乱をも含めた微分断面積のデ-タを得て、中性子の光学ポテンシャルのみならず、原子核の基本的励起様式である芯偏極を明かにすることを目的としている。 (1)東北大学サイクロトロン・ラジオアイソト-プセンタ-のAVFサイクロトロンにより課せられる37MeVの陽子ビ-ムを7Li標的にあてて、35MeVのエネルギ-分解能650Kevの準単色中性子ビ-ムを得て、中性子散乱標的に入射し、同センタ-高速中性子飛行時間分析装置により、運動量分析された散乱中性子のスペクトルを得た。 (2)中性子散乱検出用液体シンチレ-ション検出器は本申請にかかる費用により購入し、性能テスト・調整をほぼ終えたが、初期の性能がでていることを確認した。 (3)中性子散乱実験を開始したが、まず陽子散乱との比較をすべく中性子数と陽子数の同じ(N=Z)^<32>Sより始めることとした。 ^<32>Sに対しては、陽子散乱デ-タも16<E_p≦40MeVの入射エネルギ-領域において揃っているので好都合と考えられた。 (4)本実験も同センタ-における学内共同利用の一つとして行われたので、ビ-ムタイムの関係から ^<32>Sの散乱実験のためには、大略半年位の日数(実際の実験日数は1週間位)を要し、平成3年度は ^<32>Sの実験のみとなった。 (5)尚、本研究においては ^<32>Sによる35MeV中性子の弾性散乱の微分断面積の角度分布のみならず、 ^<32>S核を励起エネルギ-2.23MeV(2^+)に残す非弾性散乱のデ-タも不可欠であるが、 ^<32>S核のこの準位の変形はそれほど大きくはない、従って非弾性散乱の微分断面積も小さく、まだ充分にS/N比の良いデ-タとはなっていない。 (6) ^<32>Sの標的としては、 ^<32>Sの存在比が95%あるので特に高価な濃縮アイソト-プは必要とせず、30mm径30mm長さの円柱形状の高純度天然硫黄を使用した。 (7)関連する研究として、中性子・陽子と ^<14>Cならびに ^<14>N核との光学ポテンシャルの研究を含む論文をPhysical Review Cに公表した。
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