1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640273
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
静谷 謙一 大阪大学, 理学部, 助教授 (50154216)
|
Keywords | 対称性 / ゲ-ジ理論 / 量子異常 / 量子ホ-ル効果 / フェルミ統計 / アハロノフ・ボ-ム効果 / アハロノフ・キャッシャ-効果 |
Research Abstract |
対称性は保存則と密接な関係をもっており,対称性の観点から物理現象を把握することは重要である.特に,超伝導や超流動のような巨視的なスケ-ルで起こる量子力学的輸送現象は力学系の対称性との関わりが深く、その記述にゲ-ジ理論が有効に適用できる場合も少なくない。この事実を踏まえ,平成3年度には(1)整数量子ホ-ル効果をゲ-ジ理論の見地から研究するとともに(2)ゲ-ジ理論の量子異常の起源と役割を考察し、さらに(3)ゲ-ジ場のトポロジ-に関係した現象であるアハロノフ・ボ-ム効果、アハロノフ・キャッシャ-効果の起源を探った。その内容は以下の通りである. (1)磁場と不純物ポテンシャル中の電子を(1+1次元の多成分ディラック場として)記述する集団場理論を構築して,整数量子ホ-ル効果をゲ-ジ不変性と断熱変化との関連で考察した.整数量子ホ-ル効果では,局在とともにゲ-ジ不変性とフェルミ統計が基本的な役割を果たすことを指摘した.そして,ホ-ル伝導度が不純物ポテンシャルの影響を受けない一種の断熱不変量であることを明らかにすることにより,その量子化の精度が著しく高い事実を説明することができた. (2)東北大の三宅氏とは共同で異常項を持つゲ-ジ理論の研究を続けてきているが、本年度には考察を4次元の非可換ゲ-ジ理論にまで進めた。ゲ-ジ異常項が力学的理由でゼロとなる状況が確かに実現できることを示し、従来よりゲ-ジ理論の枠組みが広がることを確認した。さらに、ゲ-ジ理論の代数的構造を通して、ゲ-ジ異常項とシュビンガ-項が密接に結びついていることを明確に示した。 (3)アハロノフ・ボ-ム効果、アハロノフ・キャッシャ-効果が電磁場の角温動量と密接に関係していることを指摘する論文を目下執筆中である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] S.Miyake: "Consistency and current algebras of a NonーAbelan chiral gauge theory in four dimensions" Physical Review D. (1992)
-
[Publications] K.Shizuya: "Gauge invariance,adiabatic change and quantized Hall conductance" Physical Review B. (1992)
-
[Publications] 静谷 謙一: "量子異常(物理学最前線シリ-ズ第29巻に収録)" 共立出版株式会社, 54 (1992)