1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640276
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大槻 昭一郎 九州大学, 理学部, 教授 (80037142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 文彦 近畿大学, 九州工学部, 教授 (60088622)
柏 太郎 九州大学, 理学部, 助手 (30128003)
井町 昌弘 九州大学, 理学部, 助教授 (70037208)
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Keywords | バリオン数非保存過程 / スフェイレロン / バウンス解 |
Research Abstract |
電弱統一理論の異常項によるバリオン数非保存過程の断面積σ^<ΔB>が、数十Tevの高エネルギ-領域で確率保存の許す上限のあたりにまで大きくなるという可能性がRingwaldとEspinosa(以下RーEと略)によって指摘されて以来、この過程について多くの分析と議論がなされてきた。 この過程はバリオン数の異なる真空の間の障壁を与える鞍点解スファレロンを通過することを必要とするが、われわれはRーEがこの障壁の最低部のトンネル効果を表すインスタントン解を出発点としていることに強い疑問をもち、σ^<ΔB>が大きくなるのはスファレロン頂上近くの高エネルギ-であることから、障壁の山頂近くのトンネル効果を表すバウンス解を出発点にする方が良いという動理的考察からσ^<ΔB>にたいする新しい定式化を行った。この一年の間にRーE定式化の補正項がいろいろ調べられてきたが、それによると補正項自身がRーEのインスタントン遷移による出発項を打ち消すほどに大きく、したがって遂次的な補正を加えた最終結果がどういうものになるかも不明である。しかしながら注目すべきことは、これらの分析の相当部分がバウンス的な機構の重要性を指摘しており、われわれの定式化の方向を示唆している。 われわれの定式化を電弱統一模型と類似した性能をもつ1+1次元O(3)非線形シグマ模型に適用した結果は、σ^<ΔB>が確率保存からくる上限よりはるかに小さいことを示している。われわれの定式化をより複雑な電弱統一模型に適用することが当面の課題である。 いずれにせよσ^<ΔB>は非攝動的な過程であるので、最終的にはシミュレ-ションが必要になると考えられる。格子上のカイラルフェルミ粒子の扱いについて、柏太郎氏等が有意義な研究成果を得ている。 なお、電弱統一理論についてのウァ-ク・ショップ(広島)やその格子化についての国際会議(高エネルギ-物理学研究所)が開催されたので、当初予定していた研究会は今年度はとりやめた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Funakubo: "Formulation of Baryon Number Violating CollisionsーThe Case of O(3) Nonlinear Sigma Modelー" Progress of Pheoretial Physics. 87. (1992)
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[Publications] T.Kashiwa: "Some Results in galileiーInvariant Field Pheories" Nuouo Cimento. (1992)
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[Publications] K.Funakubo: "Comments on Chiral Invariant and Nonhermitian Lattice Fermion Action" Nuclear Physics B (Proceeding Section). (1992)
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[Publications] 大貫 義郎: "経路積分の方法(現代の物理学(2))" 岩波書店, 250 (1992)