1992 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン検出器の放射線照射による特性劣化に関与する素材不純物効果の解明
Project/Area Number |
03640284
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Research Institution | RIKKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
白石 文夫 立教大学, 原子力研究所, 教授 (20062606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見 保清 立教大学, 原子力研究所, 教授 (40062559)
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Keywords | Si検出器 / Si単結晶 / 放射線損傷 / 速中性子 / 逆電流 / 電荷収集 / アニーリング / 赤外線吸収 |
Research Abstract |
Si検出器は多くの特徴を持っており広く利用されているが、多量の放射線を受けると逆電流が増加し,電荷収集特性が劣化することで寿命が限られるという欠点を持っている。結晶の放射線損傷による,これらの特性劣化に対してSi素材中の不純物が与える効果を解明し,放射線耐性の高い検出器の製作に寄与するのが本研究の目的である。 Si単結晶素材として,伝導型や比抵抗さらに酸素濃度の異なるウエファを軽くエッチングした後Cd容器に入れて原子炉の速中性子で照射した。Si検出器を照射した前年度の予備実験の結果では,照射線量が10^<12>/cm^2に達すると出力が観測できなくなるが,今回は10^<11>〜10^<13>/cm^2の照射を行った。照射されたウエファは,100〜800℃でアニーリングした後に赤外線吸収スペクトルを測定した。このスペクトルから残存している結晶欠陥を評価したが,スペクトルが複雑で欠陥中心を完全に同定することはできなかった。これに関しては別の評価法を検討する必要がある。しかし同じ条件で照射とアニーリングを行ったにもかかわらず,赤外線吸収スペクトルは素材によって大きく異なっていた。結晶欠陥を評価したウエファは,エッチングで200μmの厚さにした後,片面にAu反対面にAlを真空蒸着し表面障壁型検出器を製作した。これらの検出器の逆電流とα線に対する電荷収集特性を測定した結果,赤外線吸収スペクトルと同様に素材によって特性が大幅に違っていた。 以上の一連の実験を行った結果,速中性子照射されたSi単結晶の結晶欠陥は比較的低温のアニーリングでも部分的に回復し,それは素材特性に強く依存することが確認された。例えばFZ法で引き上げられたP型Siでは約300℃のアニーリングで検出器特性を大幅に改善できる。これはP型Siで製作されたPN接合型検出器によっては非常に有益な知見である。
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