1991 Fiscal Year Annual Research Report
超イオン導電物質AgIの溶融相及び超イオン導電相での誘電関数
Project/Area Number |
03640302
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小林 迪助 新潟大学, 理学部, 助教授 (20018881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘 文夫 新潟大学, 総合情報処理センター, 助教授 (60092706)
岡崎 秀雄 新潟大学, 教養部, 教授 (60018265)
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Keywords | 静的誘電関数 / 結晶化 / 相転移 / 溶融相 / フラクタル / 超イオン誘電体 / 分子動力学 |
Research Abstract |
1 Parrinelloらのポテンシャルを用いて,分子動力学(MD)法の計算機シミュレ-ションにより,AgIの溶融相(900Kと2000K)及びα相(670K)の物性を計算した.計算は長さLの立方体中に500(250Ag+250I)個のイオンの系に対して1ステップΔt=5.0x10^<-15>sで行なった.MDのデ-タを用いると,部分構造因子が求まり,それらを用いることによって,静的誘電関数ε(k)が得られる. 2 溶融相において特徴的なことはε(k)〈0の領域の各波数のところで,温度を下げると,ε(k)の値は増大し,ε(k)=0の線に近づこうとしていることである.これは溶融状態にある荷電粒子系が融点付近に温度を下げてくると,相互作用エネルギ-/運動エネルギ-の比が大きくなり,無秩序状態の溶融相から秩序状態のα相(bcc)へ転移の兆しを示している.この現象は一成分プラズマ系でプラズマ比の増大と共にε(k)が示す性質と類似である.プラズマ比はク-ロンポテンシャルエネルギ-の運動エネルギ-に対する比であり,古典一成分プラズマの液体ー固体転移はプラズマ比=168のところで起こることが知られている.溶融相で,温度Tを下げるということは,プラズマ比を上げることに相当するということに注意するならば,溶融相のε(k)の振舞と一成分プラズマ系におけるそれとの類似性が理解できる. 3 またフラクタル描像の観点から系を調べると,融点をはるかに越える温度では系は完全に液体状態にあり,Ag及びIのフラクタル次元Dは共に2である.融点の直上ではIの局所的な秩序構造は固相でのそれに同じであり,それを反映してD=2を実現しなかった.これは溶融相のイオンが固相への相転移,つまり結晶化への前駆現象を示したものである.
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[Publications] Fuyuki Shimojo and Michisuke Kobayashi: "Molecular Dynamics Study of Molten Agl:I.Structure and Dynamical Properties." Journal of Physical Society of Japan. 60. 3725-3735 (1991)
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[Publications] Michisuke Kobayashi and Fuyuki Shimojo: "Molecular Dynamics Study of Molten AgI:II.Fractal Behavior of Diffusion Trajectory." Journal of Physical Society of Japan. 60. 4078-4082 (1991)