1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640323
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Research Institution | Hokkaido Tokai University |
Principal Investigator |
四方 周輔 北海道東海大学, 教育開発研究センター, 教授 (30056311)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / 圧力効果 / 電気的輸送現象 / ホ-ル係数 |
Research Abstract |
LaーSrーCuーO,YーBaーCuーO系では金属領域でキャリア-濃度とT_cとの間に強い相関のあることが常圧下の実験で見いだされている。しかしながら,我々はLaーSrーCuーO系について1.5GPaまでの高圧下で多結晶試料のホ-ル係数の実験を行った所、T_cが圧力で上昇するのに比べて、ホ-ル係数つまりキャリヤ-濃度はほとんど変化しないことが明らかになった。YーBaーCuーO系ではホ-ル係数は1GPaあたり約9%減少した。この系もT_cは圧力で上昇するが,圧力効果は小さい。他の物質のホ-ル係数の圧力効果と比較すると,CuO_2面内のキャリヤ-数の増加が圧力の増大とともに起こり,これは他の面またはチェインからのキャリヤ-の移動にともなうものと考えられ,T_cの商にとってある最適の面内キャリヤ-数がある,その最適の面内キャリヤ-数に近い物質はT_cの圧力効果が小さいと考えられる。LaーSrーCuーO係は,キャリヤ-の移動の可能な構造的要素がないため,ホ-ル係数の圧力効果がないのであろう。しかし,この場合のT_cの圧力効果を説明するものが何かという疑問がまた解決されない。電子系のNdーCeーCuーO系と比較すると,これはT_cの圧力効果がほとんど無い。結晶構造の観点から,ホ-ル系はすべて頂点酵素を持ち,電子系は頂点酵素がない,という事を考えると,この頂点酵素の役割を面内キャリヤ-数への影響と他の影響と分けて再検討すべきであろう。 一方,La_<1.875>Ba_<0.125>CuO_4の低温の輸送現象を研究し,超伝導と低温の構造相転移の関係を明らかにした.様々な特性温度の圧力効果を測定する事によって,構造相転移に伴う輸送現象異常と超伝導に伴うものとの違いを明らかにできた.またこの低温正方晶系相における正常状態での輸送現象を強磁場中で測定する事によって,この相の電子基底状態の特徴を明らかにした.
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