1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640327
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高木 伸 東北大学, 理学部, 助教授 (90124594)
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Keywords | 量子力学 / 非慣性系 / 伸縮系 / 調和振動子 / スクィ-ズド状態 / ベリ-の位相 / アハロ-ノラ・ボ-ム効果 |
Research Abstract |
量子力学と非慣性系の絡み合いという観点から、量子力学の諸問題を直観的に理解することを目的として、研究した。考察した非慣性系は、線形加速系、回転系および伸縮系である。これら三系に共通する特徴は、時間を含むSchrodinger方程式(TDSE)が慣性系に於けるのと同じ形式になることであり、慣性系との違いは、各系に特有の慣性力が登場することである。特に伸縮系の場合には、慣性力が調和力となる。このことから直ちに、「調和振動子のTDSEは適当な伸縮系に移ることによって自由粒子のTDSEに変換される」という、「調和振動子と自由粒子の等価定理」が得られる。本研究では、まず、非相対論的量子力学における非慣性系への変換を、物理的意味が明快でかつ応用しやすい形に整備した。特に、上述の三種の非慣性系を相互比較することによって「伸縮系」への変換の性格を見極めた。次に上述の「等価定理」を証明し、これを利用して、時間に依存するコヒ-レント状態やスクイ-ズド状態などの調和振動子の諸量子状態に対し、伸び縮みする空間上のガウス型自由波束、という直観的描像を得た。また、脈動する球状の波束(「三次元のスクイ-ズド状態」とでも呼べる状態)などを、エネルギ-固有函数の無限級数という形式的なものではなくて、閉じた形で構成した。更に、空間的に一様な電磁場中の荷電粒子も、三種の非慣性系に逐次移行することにより、自由粒子と等価になることを示し、荷電粒子の波束の重心運動と内部運動の特徴を簡潔に把握することができた。また、AharonovーBohm効果を粒子とともに動く非慣性系で定式化し、Berryの位相との関連で従来見落とされていた点を明らかにした。しかも、これがCoriolis力という古典概念によって理解できることを示した。以上とは別に、時空中の超曲面に於ける量子力学的確率の定義可能性について、量子力学における時間の役割の解明をめざして研究した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Shin Takagi: "Quantum Dynamics and NonーInertial Frames of Reference I" Prog.Theor.Phys.85. 463-479 (1991)
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[Publications] Shin Takagi: "Quantum Dynamics and NonーInertial Frames of Reference II" Prog.Theor.Phys.85. 723-742 (1991)
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[Publications] Shin Takagi: "Quantum Dynamics and NonーInertial Frames of Reference III" Prog.Theor.Phys. 86. 783-798 (1991)
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[Publications] Shin Takagi: "Electromagnetic Steering of Nonーlinear Schrodinger Solitons" Phys.Lett.A. 160. 251-254 (1991)
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[Publications] Yasuhiro Nagoshi,Shin Takagi: "AharonovーBohm Effects on Nearly Localized Quantum Sfates" J.Phys.A:Math.Gen.24. 4093-4108 (1991)
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[Publications] Norifumi Yamada,Shin Takagi: "Quautum Mechanical Probabilities on a General Spacetime Surface,{I II" Prog.Theor.Phys.85 86. 985-1012 599-615 (1991)