1991 Fiscal Year Annual Research Report
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03640333
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川崎 辰夫 京都大学, 教養部, 教授 (40025367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 精二 京都大学, 教育部, 助教授 (10143372)
冨田 博之 京都大学, 教養部 (70025477)
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Keywords | 準安定状態 / ファジ-スピン / シミュレイション / スピノ-ダル分解 / 不純物効果 / 緩和時間 / 6ークロック模型 / 量子ゆらぎ |
Research Abstract |
川崎は、準安定状態に富むファジ-スピン系についてそのランダムネスと動的性質の関連を調べてきたが、宮下と協力して高温から急冷したときに生ずる異常に遅い緩和時間のサイズ依存性を、モンテカルロシミュレイションを用いて得たデ-タの統計的な処理を行い、サイズに指数関数的であることを突き止めエジンバラで開催された磁性国際会議に報告した。さらに多重な準安定状態をもつ系の確率的な考察から、サイズ依存性が臨界格子サイズを持ちその上下で異なる依存性を示すことを予測した報告を、国際会議「固体における遅い緩和過程」で行なった。 冨田と宮下は、準安定状態からの緩和過程を、動的イジング系のシミュレ-ションに基づいて詳細に解析し、統計性の違いから2種類の緩和機構が存在することを示した。すなわち、臨界液滴よりも十分大きな系では動力学は平均化されて決定論的であるが、小さい系あるいは弱い外場のもとでは核形成過程の確率性が直接反映されて緩和は確率論的になり、緩和時間すなわち準安定状態の寿命は大きな分散を示す。さらに、両者およびその境界点を含めて寿命の分布は1自由度の動的ポテンシャル描像により統一的に説明できることを示し、この境界点は従来の熱力学的あるいは平均場近似におけるスピノダル点とは別の、いわば動的スピノダル点と呼ぶべきものであることを解明した。 宮下は、量子系での秩序形成における不純物効果をモンテカルロ法および対角化の方法で調べた。量子系では量子ゆらぎの効果で基底状態においてもいろいろは干渉効果が現われ、相関関係に不均一が現われることがわかった。この動的性質への反映については目下研究中である。また6ークロック模型の3次元での秩序変数の振舞いを秩序パラメ-タの分布関数の方法で調べ、低温相での離散性の有無を調べた。2次元と異なり離散性は相当高温まで有効であることが分かった。また3次元六方晶系での低温の性質も、第一励起状態の縮退の考察を通じて議論し秩序状態を明せかにした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] T.KAWASAKI AND S.MIYASHITA: "Size depencdnce of relaxation time in the fuzzy spin model" J.Mag.Mag.Mag. suppl. (1991)
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[Publications] S.Miyashita ANd T.Kawasaki: "Relaxatien Phenomena of the FuzzyーSpin Model" “Slow Dynamics in Cencleuced Matter"editers K.Kawasaki and M.Takayama(AIP). (1992)
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[Publications] H.Tomita and S.Miyashita: "Studies on Metastable States by Ising Machine mーTIS2" “Computational Approach in Condensed Matter Physics"(Springer). (1992)
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[Publications] H.Tomita and S.Hiyashita: "Statistical Properties of Relaxation Process of Metastable States in the Kinetic Iring Model" Phys.Rev.
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[Publications] S.Miyashita and J.Behre: "Quantum Effects in Random Spin Systems" Computational Approaches in Condensed Matter Physics SpringerーVerlag. (1992)
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[Publications] S.Miyashita and F.Matsubara: "Properties of Phase Transition and the Ordered State of the SixーClock Model" International Journal of Modern Physics C.
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[Publications] T.Horiguchi,O.Nagai and S.Miyashita: "Low and HighーTemperature Behaviors of Ferromagnetic Ising Model of Infinite Spin" J.Phys.Soc.Jpn.61. 308-321 (1992)