1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640357
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
島村 勲 理化学研究所, 原子物理研究室, 副主任研究員 (30013709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 正康 九州大学, 理学部, 助教授 (10037210)
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Keywords | ミュオン / ミュオン触媒核融合 / ミュオン分子 / エキゾチック・アトム / 原子過程 |
Research Abstract |
ミュオン触媒核融合サイクルの初期過程でミュオンが重陽子dに捕獲されてできたdμ原子が三重陽子tと衝突してミュオンを移行する反応dμ+t→d+μtが重要である。最も重要なのはdμの励起状態からμtの励起状態へのミュオン移行であるが、これを理論的に扱うのは大変難しいので、今年度はdμの基底状態からμtの基底状態への移行を計算した。まず、初期チャネルと終チャネルとを結合するとともに、dとtとμが互いに接近している状態を表す関数を多数取り入れた詳しいチャネル結合法の計算を行った。さらに、原子核反応論や電子・原子、電子・分子衝突などで成功をおさめているWignerのR行列理論を応理した、原子軌道ー分子軌道マッチング法を開発して適用した。これらが成功したので次年度には励起状態間の移行を扱う予定である。 ミュオン触媒核融合サイクル全体としてのレ-トを決める重要な律速段階として、6体のミュオン分子である[(dtμ)-d]ee生成過程があり、共鳴過程なのでこの6体系のエネルギ-準位の精密な値が生成レ-トに大きな影響を与える。エネルギ-の精密決定に必要な各種補正のうちで、dtμ分子が周囲の電子により遮蔽される効果を2段階に分けて研究した。電子軌道の大きさに比べてdtμ系は小さいので疑似原子とみなされる。するとこの6体系は水素分子同位体の一つの核がdtμで置き替わったものとみなされる。第1段階では水素原子同位体しdtμとが独立に存在する第0近似状態を取り、エネルギ-準位が電子の電荷分布によりシフトする量を摂動計算し、これにスケ-リング則をあてはめて6体系での値を求めた。第2段階では6体系を直接扱い、水素分子同位体とdtμとが独立に存在する第0近似により摂動計算を行った。ミュオン触媒核融合レ-トを見積る上で決して無視できない値、2meV程度(従来計算されていた値より一桁程大きい)が得られた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.R.Harston: "Energy shift in the 〔(dtμ)-d〕ee molecule due to the finite size of the muonic molecular ion(dtμ)^+" Physical Review A. 45. 94-100 (1992)
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[Publications] M.R.Harston: "Energy shift in the (dtμ)e molecule due to the finite size of the muonic molecular ion(dtμ)^+" Zeitschrift fur Physik D. 22. 635-640 (1992)
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[Publications] Y.Kino: "Nonadiabatic coupled-channel calculations of muon-transfer reactions" Physical Review A.
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[Publications] M.Kamimura: "Nonadiabatic quantum three-body calculation of excited-state muon transfer" Muon Catalyzed Fusion. 5/6. 33-42 (1991)
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[Publications] Y.Iseri: "Spin-dependent interactions and polarization observables in elastic scattering of deuterons at intermediate energies" Nuclear Physics A. 533. 574-588 (1991)