1991 Fiscal Year Annual Research Report
姶良カルデラの容積変動量と桜島の火山噴出物量に関する基礎的研究
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03640367
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江頭 庸夫 京都大学, 防災研究所, 助手 (00027236)
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Keywords | 姶良カルデラ / 桜島火山 / 地盤変動 / 水準測量 / 容積変動量 / 火山噴出物量 / 雲仙・普賢岳 |
Research Abstract |
「姶良カルデラの地盤変動に伴う容積変動量と桜島の火山噴出物量に関する基礎的研究」の実施計画に従い、容積変動を求めるため1991年末に桜島火山周辺において水準測量と光波測量等の再測量を実施した。また、1990年11月に始まった雲仙火山・普賢岳の噴火活動に伴う地盤変動による容積変動量と火山噴出物量との関係を桜島火山の場合と比較検討する目的で、急遽、島原半島内においても測地測量を実施した。 桜島火山においては桜島一周路線および登山道路線の水準測量を行なった。この測量成果を1988年の測定値と比較して3年間の垂直変動量を得た。その結果、桜島の北東部から内部にかけての地盤沈降(沈降速度約5〜6mm/年)は1975年以降継続していることがわかり、この3年間の容積変動量(約1000万m^3)が求められた。一方、鹿児島県が実施している降下火山灰量の観測資料に基づき、過去3年間に桜島の活動火口から放出された噴出物総量(約3000万m^3)を推算した。今回得られた姶良カルデラの容積変動量と桜島の火山噴出物量との量的関係は、過去に求められている値にほぼ一致し、本研究に関する基礎資料が得られた。 雲仙火山においては1991年5月末の溶岩ド-ム出現以来、島原半島内のGPS測量、普賢岳山頂部付近と北山麓路線の水準測量等を反復してきた。1992年2月に実施した島原半島西海岸路線における水準測量の再測量の結果、小浜町付近の地盤は普賢岳が噴火した1990年11月から約3cm沈降したことが測定された。この場合、普賢岳周辺の地表面の沈降容積は2000万〜4000万m^3となる。一方、噴火以来1992年1月末迄の噴出物総量は約7400m^3(大学合同観測班・地質岩石グル-プ)と推定されている。従って、雲仙火山における地盤変動による溶積変動量と火山噴出物量との量的関系は、桜島火山の場合と同様な関係にあることが認められた。この研究を進展するためには、今後とも水準測量を継続する必要がある。
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[Publications] 江頭 庸夫: "桜島火山周辺における地盤変動ー1974〜1982年ー" 第5回桜島火山の集中総合観測(昭和57年10〜12月). 11-21 (1986)
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[Publications] 江頭 庸夫: "噴火活動に伴う桜島火山および姶良カルデラ周辺の地盤変動" 京都大学防災研究所年報. 32,B1. 29-39 (1989)
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[Publications] 江頭 庸夫: "姶良カルデラの容積変動量と桜島の火山噴出物量との関係" 京都大学防災研究所年報.