1992 Fiscal Year Annual Research Report
島弧域のダイナミックトモグラフィ-と地殻・上部マントルのレオロジ-の研究
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03640373
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中田 正夫 熊本大学, 理学部, 助教授 (50207817)
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Keywords | サイスミックトモグラフィ- / マントルダイナミックス / 内部荷重 / 力学的カップリング |
Research Abstract |
最近地震学の進歩により、島弧下のサイスミックトモグラフィ-が確立されつつある。そのダイナミックな効果は、地殻・上部マントル内の密度不均一による内部荷重問題として取り扱うことが可能である。本年度は、昨年度に引き続き、内部荷重による密度成層した粘弾性地球モデルの各々緩和時間及び緩和モ-ドを粘性構造及び荷重の大きさ、位置の関数として評価した。その結果下部地殻がリソスフェアとして振るまう場合と、島弧のようにアセノスフェア(延性的)の一部として振るまう場合において、上部マントル内の内部荷重(マントルプリュ-ム)に対する地殻・マントルのダイナミックスは異なることが判明した。この理由は、両層の密度差(〜0.5g/cm^3)による。下部地殻がリソスフェアとして振るまう時は、地学的に新しい知見はないが、下部地殻が延性的な時は、非常におもしろい現象がマントルプリュ-ムに対する地殻・上部マントルのレスポンスの結果として生じる。つまりマントルプリュ-ムによって励起される上部マントル内の対流は下部地殻と力学的にカップリングを行う。又大きな両層間の密度差のため、両層はまざりあうことはない。この力学的カップリングにより、1Maから数Ma(下部地殻と上部マントルの粘性率による)後、マントルプリュ-ム直上付近の下部地殻は数kmから10km程度薄化する。当然薄化に伴い表面地形の沈降が起こる。当然これから推定される地学現象は時間及び空間スケ-ル・条件に強く依存するはずである。今後は時間・空間スケ-ルを考慮しながら実際の地学デ-タを取り扱い、マントルプリュ-ムを介在した地殻・上部マントルのダイナミックスを考察する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Masao NAKADA: "Ice age as a trigger of active Quaternary volcanism and tectonism" Tectonophysics. 212. 321-329 (1992)
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[Publications] Yasuo MAEDA: "Crustal tilting derived from Holocone sea-level observations along the east coast of Hokkaido in Japan and upper mantle rheology" Geophysical Research Letters. 19. 857-860 (1992)
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[Publications] Kurt Lambeck: "Constraints on the age and duration of the last interglacial period on sea-level variations" Nature. 357. 125-128 (1992)