1991 Fiscal Year Annual Research Report
大陸棚斜面域における黒潮底層水のはい上がり機構に関する研究
Project/Area Number |
03640386
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松野 健 長崎大学, 水産学部, 助教授 (10209588)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金成 誠一 北海道大学, 理学部, 教授 (70027233)
|
Keywords | 大陸棚斜面 / 内部潮汐 / 鉛直混合 / 微細構造 / 東シナ海 / 係留観測 / 数値モデル |
Research Abstract |
平成3年8月25日に東シナ海大陸棚端付近の1点(水深約330m)に係留系を設置し、9月15日までの約21日間流向流速、水温、塩分の連続測定を行った。これらは海底から10、30、80mの3層で測定され、特に海底近くの流れの構造に注目した観測を行った。この海域は黒潮の流軸の縁にあたり、海底地形に沿った流れも大きいが、本研究では主として等深線を横切る方向の運動に注目した。その結果、等深線を横切る方向の運動としては潮汐周期の変動が卓越しており、その鉛直方向の分布に注目すると、3つの測定層の間で潮汐流の大きさの相違が明らかに認められた。このことからこの海域で内部潮汐がしばしば起こっていたことが推察される。この内部潮汐による潮汐周期をもったシア-流は陸棚端付近での鉛直混合に寄与していると考えられ、陸棚端付近での混合過程は黒潮底層水の陸棚域への輸送に密接に関連していると思われる。 この観測と並行して、8月25日と26日の両日CTD.XBTおよびMSP(微細構造ブロファイラ-)を用いて、等深線を横切る鉛直断面内における水温、塩分の分布に加えて、乱流成分の鉛直分布の測定を行い、エネルギ-散逸率から鉛直渦拡散係数などを見積った。それによると、鉛直渦拡散係数は海底付近で大きくなる傾向が明らかに認められ、上述の海底付近にシア-をもった内部潮汐が発達することと符合する。 また、東シナ海の陸棚端付近のような条件のところで内部潮汐等による鉛直混合が促進されたとき、その付近の流れがどのようになるか、鉛直2次元モデルを用いて検討を行った。その結果、海底付近の密度構造及び鉛直混合の程度によって、斜面をはい上がる流れが形成される可能性のあることがわかった。
|