1992 Fiscal Year Annual Research Report
大陸棚斜面域における黒潮底層水のはい上がり機構に関する研究
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03640386
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Research Institution | NAGASAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松野 健 長崎大学, 水産学部, 助教授 (10209588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金成 誠一 北海道大学, 理学部, 教授 (70027233)
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Keywords | 黒潮底層水 / 陸棚斜面 / はい上がり / 内部潮汐 / 鉛直拡散係数 / エネルギー逸散率 / 海底混合層 |
Research Abstract |
1992年5月26日から8月22日まで、陸棚縁辺部の北緯28°20.7'、東経126°54,8'、水深約320mの地点にアーンデラ流速計4台を係留した。流速計の係留水深は海底から20,50,120,220mとした。B-220mに係留した流速計は回収直前何等かの原因によって下部と切断され、係留系撤収時には回収できなかった。しかし幸運にもその後約500km北方の五島近海において漁船によって拾得され、データを得ることができた。 また、1992年7月12日から16日にかけて、北緯28°23.1'、東経126°51.5'、水深約240mのところで、MSP,CTD,XBTによる水温、塩分及びエネルギー逸散率の鉛直分布の測定を繰り返し行い、並行して電磁流速計を係留し、海底に近い層での流向流速の時間変化の観測を行った。測定層は、海底上5,15,25,35,45,55mの6層とした。 3カ月近い連続観測の結果からは、内部潮汐の鉛直構造に関する興味ある知見が得られた。すなわち、海底からやや離れた層では、大潮期に内部潮汐が発達する傾向があるのに対し、海底斜面に近いところでは、密度構造の変化などによって、間欠的に大きく発達する様子がみられた。また、鉛直混合については、海底上50m程度の層で拡散係数(K_Z)が大きく、その上で2オーダーほど小さくなる層があって、さらにその上の層でまたK_Zの大きい層があること、海底直上では、K_Zの値は大きいところで10cm^2s^<-1>程度になっていること、第2躍層の厚さは明らかに時間によって変動しているが、K_Z極小層の位置もそれに対応して変化していることがわかった。さらに、斜面をかけ上がる流れについては、電磁流速計によって得られたデータから、上2層では沖向きの流れであるのに対し、下の層(最下層にはほとんど流れが認められないが)では、浅い方に向かう流れが認められ、短期間の観測ではあるが、海底に沿って斜面をはい上がる方向の平均流があることが示された。
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Research Products
(1 results)