1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640390
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三浦 彰 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20126171)
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Keywords | 磁気流体不安定 / ケルビン・ヘルムホルツ不安定 / 磁気圏境界 / 電離層 / シミュレーション / 線形解析 / 低緯度磁気圏境界層 / マグネトシース磁場 |
Research Abstract |
今年度は3次元MHDコードを開発しケルビン・ヘルムホルツ(K-H)不安定の3次元MHDシミュレーションを実行する予定であったが、3次元シミュレーションの準備のための3次元線形解析およびマグネトシースの南北磁場成分に対するK-H不安定の依存性を調べる2次元のMHDシミュレーションに時間がかかり3次元コードの開発に着手することができなかった。3次元線形解析と2次元MHDシミュレーションによって得られた結果は次の通りである。 1.電離層での擾乱が静電的で電離層が一様な場合には電離層のホール電気伝導度は磁気圏のK-Hモードに対する電離層の境界条件には入らずペダーセン伝導度のみが3次元擾乱に影響を及ぼす。平成4年度に明らかにされたラインタイング効果と共にK-H不安定を起こす垂直0次電場が磁気圏に存在する場合には、この電場により電離層に流れるペダーセン電流によって作られる水平磁場がK-H不安定を押さえるように働く。この結果、電離層のペダーセン伝導度がある臨界値を越えるとK-H不安定は完全に安定化されることがわかった。 2.磁気圏境界でのK-H不安定はマグネトシースの磁場の南北成分にはあまり依存しないと暗黙のうちに考えられてきたが、0次の状態でマグネトシースの磁場は磁気圏境界面に水平な面内で回転しながら磁気圏内の北向き磁場に遷移することを考慮に入れると、マグネトシースの磁場が北向きの方が南向きの場合よりK-H不安定は起こりやすく、その結果生ずる速度境界層も広くなることがわかった。これはマグネトシースの磁場が南向きの場合には磁場が回転して磁気圏内の北向きの磁場に遷移する際に流れに平行な磁場成分が生じ安定化に働くことが原因である。衛星観測によると低緯度磁気圏境界層の幅はマグネトシースの磁場が北向きの方が厚いことが知られており、今回得られた結果はこの観測事実をうまく説明しうることがわかった。
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