1993 Fiscal Year Annual Research Report
化合物単結晶基盤上の薄膜作製と発光材料としての機能開発の研究
Project/Area Number |
03640400
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
田中 勝己 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (30155121)
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Keywords | レーザーアブレーション / CdWO_4 / Si(111) / オレフィンメタセシス / メタノール吸着 |
Research Abstract |
CdWO_4単結晶(010)面にNd/YAGレーザーの第4高調波を照射するとアブレーション(溶発)が起こる。この現象を利用し、飛び出す粒子をSi(111)単結晶基板上に堆積させる実験を行い、薄膜の化学組成、結晶性を基板の温度依存性、共存酸素圧の効果から検討した。Si基板を400℃以上に加熱しておくと結晶性の膜が得られた。電子プローブ微少分析計(EPMA)、X線回折(XRD)の結果、真空中でのアブレーションにより得られる膜のCd/W比は数%とCdがかなり少なく、このことを考慮して、XRDの結果をWO_3(020)の結晶成長と結論した。膜中のCd/Wの水平分布をEPMAにより調べた結果、アブレーションされる粒子はCdWO_4基板の垂直方向に対して、CdはWより強い空間分布を示して脱離することが示唆された。膜中のCd/W比は、酸素を共存させることにより改良されるが、Cd:W=1:1の量論比の膜を得るには、高圧の酸素中でアブレーションさせる必要があり、レーザー出力の点でまだ解決に至っていない。種々の膜が得られたが、X線、電子線、酸素イオンビームを照射しても発光は得られなかった。Cd/W比の改良により膜の発光機能は得られると推論される。 また、以下の2点に関して論文の発表を行った。1点は、超高真空中でSi(111)単結晶上でのメタノール吸着のX線光電子分光(XPS)、紫外光電子分光(UPS)の研究。メタノールは室温でメトキシ基と水素に解離吸着し、このメトキシ基は、UPSの光源であるHe-II(40.8eV)の照射により光分解することを報告した。単結晶基板上に有機膜などを導入する際にバインダーとして表面吸着種を利用する可能性が示された。他の1点は、有機膜として伝導性ポリマーを開発する目的で、硫黄を含んだオレフィンのメタセシス反応を触媒的に進行させた研究。均一系でのW系触媒を見いだし、一般的には触媒毒となる硫黄を含んだオレフィンの反応が触媒的に進行し、この触媒のもとで新たな硫黄化合物を開発できること、開環重合により原料となるポリマーを開発できることを報告した。
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[Publications] K.Tanaka,S.Matsuzaki,I.Toyoshima: "Photodecomposition of Adsorbed Methoxy Species by UV Light and Formaldehyde Adsorption on Si(111) Studied by XPS and UPS" Journal of Physical Chemistry. 97. 5673-5677 (1993)
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[Publications] J-L.Couturier,K.Tanaka,M.Leconte,J-M.Basset,J.Ollivier: "Metathesis of Sulfur-Containing Olefins with a Metallacyclic Argloxo(chlro)neopentylidene tuorgsten Complex" Amgew.Chem.Int.Ed.Engl.32. 112-115 (1993)
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[Publications] J-L.Couturier,K.Tanaka,M.Leconte,J-M.Basset,J.Ollivier: "Metathese Schwefelhaltiger Olefine mit einen metallacyclischen Aryloxo(chloro)meopentylidene-wolfram-Komplex" Angew.Chem.,. 105. 99-102 (1993)