1991 Fiscal Year Annual Research Report
状態相関二次元NMR分光法による液晶分子の構造と動的挙動の決定
Project/Area Number |
03640405
|
Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
内藤 晶 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (80172245)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 一之 京都大学, 理学部, 助教授 (50025368)
斉藤 肇 姫路工業大学, 理学部, 教授 (30100150)
|
Keywords | 二次元NMR / 液晶 / マイクロ波 / 温度ジャンプNMR / 相転移 / 双極子パタ-ン |
Research Abstract |
本研究は、申請者らが独自に開発した状態相関二次元NMR分光法を液晶物質に適用して、液晶相等方相状態相関二次元NMRスペクトルを観測する目的で行った。以下、本年度に得られた結果を具体的に述べる。 1.まず第一に、状態相関二次元NMRスペクトルを得るためにマイクロ波高速温度ジャンプNMR分光器の改良を行った。第二の改良点はマイクロ波の照射コイルをラジオ波コイルの内側に巻いた点である。この改良によって、今まで起こっていた放電が完全に止まり、温度上昇効率が格段に良くなった。次にマイクロ波コイルの形状を工夫し、マイクロ波の電力線密度が試料付近で最も高くなるよう考慮した。これらの改良を行った結果、液晶試料では1℃/msecの温度上昇速度が達成できると同時に温度の均一性も格段に良くなった。 2.実際に液晶試料として4'ーmethoxybenzylideneー4ーacetoxyaniline(APAPA)を用いて状態相関二次元NMRスペクトルの観測を行った。液晶は一般に相転移に伴う潜熱が小さいので、短期間に相転移を起こす事が容易な試料である。この結果、世界で初めて液晶相ー等方相状態相関二次元NMRスペクトルの観測に成功した。 3.観測したAPAPAの状態相関二次元NMRスペクトルを解析した結果、それぞれのプロトンの局所双極子パタ-ンが等方相の分解能で分離して観測できることが判明した。従来の方法ではこのような情報を得るのは困難であったが、この分光法により、液晶相の局所双極子パタ-ンの解析が格段に容易になった。 4.今後の課題は,より短時間で相転移を完了させることである。このことにより、スペクトルのパタ-ンはさらに単純になり、正確な解析が可能になる。また得られた線形について理論的検討を加え、液晶の分子構造や動的挙動について理解を深める必要がある。次年度はこれらの点に留意して研究を進める予定である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Akira Naito: "Separation of Local Magnetic Fields of Individual in Nematic Phase by StateーCorrelated 2D NMR Spectroscopy" J.Magn.Reson.92. 85-93 (1991)
-
[Publications] Kazuyuki Akasaka: "Novel Method for NMR Spectral Correlation between the Native and the Denatured States of a Protein.Application to Ribonuclease A" J.Am.Chem.Soc.113. 4688-4689 (1991)