1991 Fiscal Year Annual Research Report
有機分子クラスタ-内反応における配向異性体効果の研究
Project/Area Number |
03640423
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三上 直彦 東北大学, 理学部, 助教授 (70004447)
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Keywords | 分子クラスタ-内反応 / クラスタ-内イオン分子反応 / フルオロベンゼン:アンモニア錯体 / 配向異性体の反応性 |
Research Abstract |
有機化合物を核とする分子クラスタ-では、配向の差による多数の異性体が存在し得る。本研究では、有機分子を核とする比較的小さなサイズの分子クラスタ-の中で誘起される化学反応がいかに配向構造によって変化するかを調べる。特に、中性クラスタ-では反応しないが光イオン化に伴って反応が誘起される場合、即ち、分子クラスタ-内イオン分子反応に関して詳しく調べる。 この目的に沿って、フルオロベンゼンとアンモニアの分子錯体が光イオン化によって求核置換反応を起こしてアニリンが生成する過程を対象としてレ-ザ-分光法による研究を行った。 その結果、(1:1)錯体には2種類の異性体が存在することが判明し、分子間相互作用の計算結果から、一方はファンデルワ-ルス型の錯体(a)で、他方は多少の水素結合性を有する錯体(b)と推定することができた。これらの錯体ではイオン化による反応性が全く異なっており、(a)では錯体イオンは単純解離してフルオロベンゼンイオンになるだけであるが、(b)では求核置換反応を起こしてアニリンイオンとなることを見いだした。イオン化しきい値、解離しきい値、反応生成物の出現エネルギ-、などを2波長レ-ザ-分光法によって求めて、反応の全過程についてエネルギ-関係の考察を行った。 同様な解析をフルオロベンゼント水との錯体についても行い、類似の結果を得て、一連の分子錯体における異性体イオンからの求核置換反応について、反応経路のポテンシャル障壁などを議論した。
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[Publications] Naohiko Mikami: "Trapped Ion Photodissociation Spectroscopy:the Electronic Spectrum of the HydrogenーBonded Complex Cation〔C_6H_5OHーN(CH_3)_3〕^+・" Chem.Phys.Lett.180. 431-435 (1991)
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[Publications] Toshihiko Maeyama: "Intracluster Ion Molecule Reactions within the Photoionized van der Waals Complexes of C_6H_5F with NH_3 and with H_2O" J.Phys.Chem.95. 7197-7204 (1991)
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[Publications] Mitsuo Kira: "Conformational Analysis of Phenylpentamethyldisilane and Related Compounds as Studied FreeーJet Laser spectroscopy" Org.Met.10. 3793-3795 (1991)
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[Publications] 三上 直彦: "RFイオントラップ法により捕捉した分子クラスタ-イオンのレ-ザ分光" 質量分析. 39. 205-212 (1991)