1991 Fiscal Year Annual Research Report
振動分光法による非イオン界面活性剤ー水系の構造化学的研究
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03640427
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福原 幸一 広島大学, 理学部, 助手 (90208976)
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Keywords | 非イオン界面活性剤 / コンホメ-ション / 振動分光法 |
Research Abstract |
現在までに約20種のアルキルオリゴオキシエチレンおよび関連化合物を合成した。純度の検定は本課題により購入したガスクロマトグラフおよびNMRによって行った。純粋固体および含水固体状態の測定にはラマン分光法を用い、純粋固体状態については分子鎖長や結晶化条件の違いによって多様なコンホメ-ション状態をとることがわかった。また一部の同族体については,特定のコンホメ-ションがある鎖長ごとに繰り返し現れるという分子コンホメ-ションの鎖長依存性に周期性のあることが認められた。部分重水素化化合物についても固体状態におけるラマンスペクトルの測定を行い、同族体で報告されていたβ形と呼ばれる分子形のコンホメ-ションを明確にキャラクタライズすることができた。また、部分重水素化化合物の液体状態におけるラマンスペクトルの測定と基準振動計算の結果から、疎水基(アルキル鎖)と親水基(オキシエチレン鎖)の接合部分近傍の局所的なコンホメ-ション状態を詳細に調べるためのキ-バンドをいくつか見いだした。水溶液中のコンホメ-ションの濃度依存性についてはFTーIR分光法およびラマン分光法を用いて予備的な測定を行った。それにより、オキシエチレン鎖の濃度に対するコンホメ-ションの挙動が、ある濃度領域を境にして逆転する現象を見いだした。この現象は非イオン界面活性剤の親水基のモデル化合物であるオリゴエチレングリコ-ルジメチルエ-テルにおいても見いだされ、オキシエチレン鎖と水との相互作用に特有の現象であることが明らかになった。また、臨界ミセル濃度(CMC)の近傍においてもコンホメ-ションの濃度依存性が変化しており、CMC以下の濃度においても界面活性剤分子間相互作用が存在することが見いだされた。このような現象は本研究で初めて観測されたものである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 松浦 博厚: "Vibrational spectra,force field and normal modes of 4,13ーdiazaー18ーcrownー6." Journal of Molesular Structure. 265. 269-282 (1992)
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[Publications] 福原 幸一: "Solidーstate phase behavior of a binary system of 18ーcrownー6 and water." Journal of Physical Chemistry.
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[Publications] 福原 幸一: "Vibrational spectroscopic study of conformational behavior of oxyethylene compounds in aqueous solution." Journal of Physical Chemistry.
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[Publications] 福原 幸一: "Raman spectroscopic study of the molecular conformation of partially deuterated alkylologo(oxyethylene)surfactants." Journal of Molesular Structure.