1992 Fiscal Year Annual Research Report
大気環境会合分子(C10)nのFTマイクロ波分光による分子定数の決定
Project/Area Number |
03640431
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
恩田 正雄 上智大学, 理工学部, 講師 (30053672)
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Keywords | FTマイクロ波分光 / 核四極子結合定数 / CCl_2F_2 / 放電化学反応 |
Research Abstract |
気相反応中間体の弱い回転遷移を観測するため、初年度に引き続き、製作中のフーリエ変換マイクロ波分光器の感度向上を目指した。目的分子種(C10)_2のマイクロ波領域(4-18GHz)における測定には少なくとも分光器の感度を報告されている同型器程度以上にしなければならない。そのために初年度に製作した8個の出力ポートを持つパルスコントローラ〜積算システムは、単体では良好に作動したが、実装段階で問題を生じ完全には分光器に組み込めていない。そこで従来使用していたコントローラの改良によりタイミングずれが原因となる感度劣化を改善し、^<18>OC^<34>sのJ=1-0遷移をS/N〜5で観測できるようになった。本年度前半は重要な環境関連分子のひとつであるCCl_2F_2の回転スペクトル線を高分解能で測定した。スペクトル線は2個の塩素核により10数本の超微細構造に分裂し、各成分を1〜5kHzの精度で観測出来た。得られた回転定数および核四極子結合定数は以下のとうりである: A=4118.934(4),B=2638.741(4),C=2233.764(4),△_J=0.0058(3),X_<aa>=-43.7007(2)、X_<bb>=4.680(2)、X_<cc>=39.092(2)(単位MHz)。従来値を1〜2桁改善出来た。 目的の(ClO)_2はアルゴン希釈の塩素と酸素の混合気体を試作した数種の放電ノズルに流し、各種放電により検出を試みた。第一に試みた交流放電では電源等に問題がありノイズ除去に成功せず目的種を検出できなかった。現在直流グロー放電によるシステムを製作中である。また、数分解ノズルは数種の試作品を完成した段階である。 分子流中の反応中間体を高感度に検出するため、四重極型質量分析計(ULVAC MSQ-400)を購入した。現在FT分光器に取り付けるためのフランジを加工中であり、これにより分子流中の特定種をモニターしながらのマイクロ波スペクトルの測定が可能となる。これらノズル等の開発には本補助金により製作した真空槽が有効であった。
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