1991 Fiscal Year Annual Research Report
振動励起分子の清浄固体表面との相互作用とダイナミックス
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03640432
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
松本 吉泰 岡崎国立共同研究機構, 分子科研究所, 助教授 (70181790)
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Keywords | 表面反応 / 振動励起 / 吸着脱離 / 赤外レ-ザ- / 差周波発生 / 光解離 / 白金 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
清浄固体表面上での吸着、脱離を含む化学反応に分子の内部エネルギ-がどのように影響するかという点は表面化学反応の理解を深める上で極めて重要である。そこで、本研究では内部エネルギ-の中でも分子の振動、電子の自由度に着目し、以下に述べる分子振動励起のための赤外光源の開発、及び、紫外光による吸着種の光化学反応について重点的に研究を行った。1.赤外レ-ザ-の開発:分子の特定の振動モ-ドを励起するために、分子の指紋領域である中赤外で波長可変なレ-ザを以下のような方法で開発した。モ-ドロックNd:YAGレ-ザ-の基本波をポンプ光とし、進行波型色素レ-ザより得られる波長可変近赤外パルスをシグナル光として、AgGaS_2結晶を用いて差周波発生を試みた。この結果、波長領域4.5〜7.0μm、線幅10cm^<ー1>、時間幅35psの波長可変ピコ秒赤外パルスを得ることができた。しかし、パルスあたりのエネルギ-が約10μJと小さいため分子の振動励起状態を効率よく生成するには至っていない。従って、現在のところ更に増幅段を追加することによって出力の増大を試みている。2.紫外光による吸着分子の光化学反応:超高真空中でPt(111)面にN_2Oを単分子層吸着させ、これにエキシマ-レ-ザ-の紫外光を照射し、生成物を昇温脱離によって調べた。吸着したN_2Oは193nmの光で脱離、解離を起こし、その割合はほぼ1:1である。また、この方法により従来法に比べて3倍もの酸素原子濃度を白金表面上で生成することができた。これは、白金表面上での活性な酸素原子を生成するという点で、また、反応速度論的な見地からは酸素原子の被覆率のダイナミックレンジを広げるという点で意義が深い。このように、従来活性で表面でのエネルギ-失活が極めて速いと考えられていた金属表面でも光励起によって生じた励起状態、或いは、励起種からの反応が可能であることを明らかとなった。
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