1991 Fiscal Year Annual Research Report
新規なトリヒドロキサム酸の合成と選択的金属錯体形成及び錯体を用いる分子認識
Project/Area Number |
03640442
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
秋山 雅安 東京農工大学, 工学部, 教授 (20016728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 淳一 東京農工大学, 工学部, 講師 (70185841)
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Keywords | トリヒドロキサム酸 / 金属イオン錯体形成 / 分子認識 / 人工シデロフォア / ヒドロキサム酸鉄(III)錯体 / 微生物生育促進効果 / 錯体の立体配置 / ペプチド性ヒドロキサム酸 |
Research Abstract |
三次元的形態の定まった分子構造をもつ機能物質の創製は、物質の機能の追求や分子認識概念の展開にとって重要である。天然のトリヒドロキサム酸の挙動はこのような機能物質についての一つのヒントを与えている。本研究では、形態の定った非天然の構築物についての知見を得るために、オリゴアミドやオリゴペプチドの新規なトリヒドロキサム酸を合成した。更に、合成物の鉄(III)やガリウム(III)との選択的な錯体形成によって、錯体の構造、錯体形成における分子認識、錯体の機能等について検討し、新しい知見を得た。これらの具体的概要を以下に記す。 1.βーシクロデキストリンに結合したフェリオサキサミンモデルとして、6ーアミノヘキサノイルー3ー(Nーヒドロキシ)アミノプロパノイルの単位を3回繰り返す基本体のNー端をアセチル基又はtーBoc基で保護したCー端カルボキシル基を、6ーアミノーβーシクロデキストリンのアミノ基とのアミド結合で結んだ連結物を合成した。このものは鉄(III)を選択的に錯体化した。錯体は安定で、△ー配置を優先し、微生物の生育促進効果を示した。2.tーBocーβーアラニルーωー(Nーヒドロキシ)アミノアルカン酸のカルボキシル基と、トリス(アミノエチルアミン)のアミノ基をアミド結合で連絡した三方向性トリヒドロキサム酸を合成した。合成物の鉄錯体形成能、錯体の安定性や微生物の生育促進効果を評価した。3ー4.アラニルー(Nーヒドロキシ)グリシルーアラニンから成るノナペプチド、アラニルーアラニルー(Nーヒドロキシ)グリシルーアラニンから成るドデカペプチドを合成し、それらの鉄(III)イオン錯体について新規な知見を得た。5.グルタミン酸を三方向性の起点残基とし、他はグリシン残基を用いるキラルなペプチド性トリヒドロキサム酸を合成した。合成物について、鉄錯体形成能、錯体の立体構造、微生物の生育促進効果等を評価し、液膜モデルによる鉄イオン輸送についても検討した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 秋山 雅安: "βーCyclodextrin Bound Retrohydroxamate Ferrioxamines.Chiral Iron(III) Coordination and Biological Activity of Synthetic Siderophores." Chem.Lett.1189-1192 (1991)
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[Publications] 加藤 明良: "NーHydroxy Amides.Synthesis and Iron(III) Complexes of Tripodal Hydroxamic Acid derived from ωー(NーHydroxyamino) alkanoic Acid and Trisー(2ーaminoethyl) amine" J.Chem.Soc.Perkin Trans.1. 1839-1842 (1991)
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[Publications] 秋山 雅安: "NーHydroxy Amides.X.Synthesis of a Nonapeptide with an Alaー(HO)GlyーAla Sequence and It's Spectral and Iron(III) Holding Properties" Bull.Chem.Soc.Jpn.65. (1992)
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[Publications] 秋山 雅安: "NーHydroxy Amides.XI.Synthesis and Properties of a Dodeca Peptide Hydroxamic Acid with an AlaーAlaー(HO)GlyーAla Sequence" Bull.Chem.Soc.Jpn.
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[Publications] 秋山 雅安: "NーHydroxy Amides.XII.Syntesis and Properties of Tripodal Peptide Hydroxamic Acids with Glutamic Acid as a Key Residue." Bull.Chem.Soc.Jpn.