1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640477
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Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
吉村 寿次 いわき明星大学, 理工学部, 教授 (20016017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 一之 いわき明星大学, 理工学部, 助手 (90221811)
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Keywords | ノシヘプチド / ペプチド系抗生物質 / フラグメントE / 構造活性相関 |
Research Abstract |
1.構造活性相関に関する研究 二環性ペプチド抗生物質ノシヘプチドは、グラム陽性菌に対して強い抗菌作用を示す。その作用機作は菌のtーRNAに作用してタンパク質の合成を阻害することが知られているが、詳細な活性部位や認識部位については不明である。そこで申請者は、構造活性相関を明らかにする目的で、ノシヘプチドの部分分解を種々検討した。その結果、まず第一に耐圧反応管を用い、飽和アンモニアーエタノ-ル中、ノシヘプチドを90℃で2ー3時間加熱すると選択的にフラグメントEが脱離して単環構造になることを明らかにした。さらに、 ^1H, ^<13>CーNMR,FABーMASS等の各種スペクトルより、フラグメントEのインド-ル骨格は2ーアミド誘導体となり、残りはチオアンモニウム誘導体として開裂していることが明らかになった。第二に、ノシヘプチドをイソプロピルアルコ-ル中、強酸性イオン交換樹脂(IRー120)存在下、2日間加熱環流すると、選択的に脱デヒドロアラニン化し、末端のカルボン酸部分がイソプロピルエステルとなった生成物が得られることを明らかにした。また、このようにして得られた3種の部分構造物については現在、生理活性試験中である。今後、研究2年度目ではフラグメントDのカルボキシル基を利用した環開裂および段階的部分分解を重ねて、部分構造と生理活性との相関について検討する予定である。 2.合成研究 ノシヘプチドの合成研究に関しては、申請者らによるフラグメントD(チアゾ-ルカルボン酸誘導体)の合成研究があるのみであった。研究初年度ではノシヘプチド中のフラグメントE:3ーメチルー4ーヒドロキシメチルインド-ルー2ーカルボン酸の合成をおこない、2ーメチルー3ーニトロベンジルアルコ-ルを出発原料とし、Reissertのインド-ル合成法による簡便で効率的な合成法を確立した。また、スレオニンとフラグメントCから成るジペプチドの合成をおこなった。さらに、研究二年度では、フラグメントAの構成チアゾ-ル環二種類の合成を検討すると同時に、フラグメントAの全構造の構築にとりかかる予定である。以上、得られた研究成果に関しては、第63回日本化学会春季年会において報告した。
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