1991 Fiscal Year Annual Research Report
付加錯体生成を利用する金属キレ-トの高速液体クロマトグラフィ-
Project/Area Number |
03640486
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
角田 欣一 群馬大学, 工学部, 助教授 (30175468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 博 群馬大学, 工学部, 助教授 (20008460)
赤岩 英夫 群馬大学, 工学部, 教授 (60008414)
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Keywords | 高速液体クロマトグラフィ- / 金属キレ-ト / 付加錯体 / 中性配位子 |
Research Abstract |
本年度の研究は比較的順調に進行し、ほぼ当初の研究目的を達成することができた。すなわち、Zn^<2+>、Cu^<2+>、Co^<3+>、Ni^<2+>の4種類の金属ーSTT錯体の逆相HPLCにおいて、ビリジン、αー、rービコリンなどの単座配位子に加え、ジピリジル(dpy)、1、10ーフェナントロリン(phen)の2座配位子、さらに酵素を直接の配位原子とするトリブチホスフィンオキシド(TBP)、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)などの付加錯体形成剤の分離におよぼす影響を、移動相、カラムの種類など種々の因子を変化させ、詳細に検討した。その結果、dpy、phenを移動相に添加すると、CuーSTTAの保持時間は減少することがわかった。すなわち、これらの分子が付加錯体形成剤としてよりはむしろ、マスキング剤として働くことがわかった。これは、これらの分子の錯形成能が、STTAに比較しても非常に大きいため錯体が不安定化すると考えられる。またTOPOの添加は金属ーSTTA錯体の保持時間を特に大きく増大させた。さらにTOPOの添加によりZnーSTTAのピ-ク強度が増加した。これはカラム内での錯体の解離の抑制に付加錯体生成が有効であることを示しており、分析化学的に重要な知見と考えられる。また金属ーTTA錯体に関しては、分離条件の基礎的検討をおこない、Co^<2+>、Cu^<2+>、Ni^<2+>の3種類の金属ーTTA錯体の逆相HPLCにおける分離条件を確立した。次年度これらの金属ーTTA錯体の分離に及ぼす付加錯体形成剤の影響を詳しく検討する予定である。
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