1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640497
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉村 和久 九州大学, 教養部, 助教授 (80112291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 史郎 九州大学, 教養部, 助手 (10219404)
井倉 洋二 九州大学, 農学部, 助手 (60203270)
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Keywords | カルスト地下水 / 物質循環 / 秋吉台 / 洪水時応答 / 溶存成分 / トリチウム濃度 / フォールアウト / 土壌中二酸化炭素 |
Research Abstract |
1.秋吉台の地下水の約50%を排出する秋芳洞地下川について、降雨時の溶存成分の変動を追跡した。平成元年度の科学研究費を使って、地下川の洪水流出が終わって完全に平水位に戻った後約1週間後に、銅含量は10ppb越える高い値を示すという結果を得ていたが、その期間に採取した水のトリチウム濃度の測定が完了した。80mmの雨が2日の間隔で2回降ったが、2回目の雨による増水時に通常の2倍のトリチウム濃度をもつ地下水が流出していることが明かとなった。滞留時間が40年近いことになり、その流出機構に関して現在検討している。 2.秋吉洞地下水の平水位時におけるpHの日変化が観測された。洞口から200m下流の観測地点まで流下する間に、水棲生物による光合成により溶存二酸化炭素が消費されており、その量を見積った。 3.秋芳洞とは流出形態の異なる地下水として、秋芳洞と平行して温水(ぬくみず)湧泉の調査を行っている。今の所、水位計と温度計しかセットできていないが、今後さらにpH、導電率の連続観測のための装置を設置する予定である。 4.地下水中の溶存成分含量に及ぼす寄与を明らかにするために、乾性、湿性降下物についての追跡を秋吉台と宮崎県椎葉村で行った。この研究は継続している。 5.石灰岩地域での物質循環には土壌中二酸化炭素の役割が大きく、亜熱帯地域の二酸化炭素濃度についてはまだ測定値がないので、沖縄県公害衛生研究所の協力を得て、現在観測を継続している。また、秋吉台においても、秋吉台科学博物館の協力を得て、草原、林地におけるさらに詳細な深さ方向の土壌二酸化炭素濃度を測定するために、昨年12月に器材を設置し現在測定を続けている。 6.報告書を作成して関係機関、研究者に配布する予定である。
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[Publications] K.Yoshimura,S.Matsuoka,Y.Inokura and U.Hase: "Flow analysis of trace amounts of copper by ion-exchanger phase absorptiometry with 4,7-dipheny1-2,9-dimethy1-1,10-phenanthrolinedisulfonate and its application to the study of karst groundwater storm runoff" Analytica Chimica Acta. 268. 225-233 (1992)
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[Publications] 吉村 和久・井倉 洋二: "石灰岩地域秋吉台における水循環と地下水水質の形成" 地下水学雑誌. 34. 183-194 (1992)
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[Publications] 吉村 和久: "CO_2循環における炭酸塩溶解の役割" 地球化学. 37. (1993)
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[Publications] 吉村 和久: "炭酸塩岩の化学風化とCO_2循環への寄与" 堆積学研究会報. 37. 119-121 (1992)