1991 Fiscal Year Annual Research Report
大気中におけるホルムアルデヒド及びそのハロゲン置換体とHO_2ラジカルの反応
Project/Area Number |
03640505
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
坂東 博 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 総合研究官 (80124353)
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Keywords | ハロゲン化カルボニル / 代替フロン / HCFCー123 / HCFCー141b / メチルクロロホイム / 分解反応生成物 / 反応機構 |
Research Abstract |
本研究課題では、当初ホルムアルデヒド及びそのハロゲン置換体の大気中における消滅過程の1つとしてHO_2ラジカルとの反応を調べることとしていたが、装置の都合によりHO_2ラジカル発生ができなかったことから、課題をホルムアルデヒドのハロゲン置換体(ハロゲン化カルボニル化合物:以下CX_2Oと略す)生成反応の機構解明の研究を行った。そこで、今後の地球環境問題として重要になってくる代替フロン(水素化クロロフルオロカ-ボン:HCFC)の対流圏での分解中に生成するCX_2Oの収率とその収率を支配する反応機構について光化学反応実験を行い調べた。 代替フロンのうちHCFCー123(CHCl_2CF_3),HCFCー141b(CH_3CCl_2F)メチルクロロホルム(以下MCと略す、CH_3CCl_3)について実験を行った。その結果、HCFCー123からは分解生成物としてCF_3CClOが収率100%で得られるのに対して、HCFCー141b及びMCからはCーC骨格を残した型の分解生成物は検出されず、CX_2O型の生成物すなわち各々CClFO,CCl_2Oのみが生成することを明らかにした。この結果、代替フロンの分解が一様ではないことを示しており、個別に生成物の特定とその収率を明確にすることが今後の代替フロンの環境容量を評価する上で必要であることを示している。後者の生成物は、各々CCl_2F,CCl_3ラジカルの大気中反応により生成する物質であることが知られていることから、HCFCー123とHCFCー141b、MCにおける生成物の相違は、各々の分解過程の途中に存在するCY_3CX_2O(X,Y=H,Cl,or F)型ラジカルの反応が、HCFCー123ではCl原子の放出、HCFCー141bとMCではCーC結合の開裂により進行することが、熱力学的考察から推定された。さらに、HCFCー123の分解生成物であるCF_3CClOの反応実験を行い、これらハロゲン化カルボニル化合物の消滅過程として大気中の水との反応が重要であること、及びその生成物がカルボン酸であることを実験的に明らかにした。
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