1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640508
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関根 勉 東北大学, 理学部, 講師 (20154651)
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Keywords | 反跳インプランテ-ション / 薄膜法 / 中心金属置換反応 / βージケトン錯体 / ホットアトム化学 |
Research Abstract |
核反応反跳インプランテ-ション法による化学反応機構の研究を行ない、インプラント原子の反応性の非常に高いことを見いだしたと共に、インプラント原子の運動エネルギ-がその化学反応収率に与える影響について新しい解析を行なった。金属薄膜反跳源上に反応媒体としての錯体を昇華法によりフィルム状につけ、核反応により反跳源薄膜から飛び出してくる反跳原子を実験的に求めると共に、理論的な計算を行ない、その定量性を確認した。核反応により生成した反跳原子の最大飛程以内の範囲で膜厚を変化させると、そこから飛び出すこきのエネルギ-分布が変化することが実証された。この方法を用いて、種々βージケント錯体の中心金属換収率を実験的に求めたところ、打ち込みエネルギ-が増加するにつれて置換収率も増加するという一連の系統性を得るに至った。置換収率の増加するエネルギ-領域は数+keVと非常に高く、反跳原子のエネルギ-損失過程を考えると核阻止能の変化する領域と関係のあることがわかった。反跳原子のエネルギ-損失により与えられるエネルギ-付加を基に、引き続き起こる連鎖衝突が反跳原子の化学反応領域に影響を与えるとするモデルを提出した。これは、高エネルギ-領域で化学応収率が変化するというインプランテ-ション誘発反応の特異性に対して初めてアプロ-チを行なったものである。また、反跳源金属と捕集錯体の組み合わせを工夫することによって、捕集錯体の組み金属の核反応に伴うホットアトム反応と、反跳源からインプランテ-ション反応を同一元素の異なる核植により同時比較することに成功した。ホットアトム反応収率が錯体内部起源で起こるために反跳源金属薄膜の厚みとは何ら関係なく一定値を示すのに対し、インプラント原子の反応収率はその厚み依存性が見いだされ、インプランテ-ション反応の特異性が実験的に証明された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Sekine: "Porent Type Chemical Species Formed by Recoil Implantation Reaction in Tris(βーdiketonato)metal(III)" Radiochimca Acta. 55. 65-69 (1991)
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[Publications] T.Sekine: "Comparison of Implantaion Reactions with Hot Atom Reactions in Geometrical and Optical Isomers of Metal βーDiketonates" Radiochimica Acta. 55. 71-77 (1991)