1991 Fiscal Year Annual Research Report
修飾ヘテロポリアニオンを担体とする新しい有機金属種
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03640529
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
野宮 健司 神奈川大学, 理学部, 助教授 (80119354)
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Keywords | ヘテロポリアニオン / 修飾ヘテロポリアニオン / 合成 / 三置換型Dawson構造 / 均一系触媒の担体 / 触媒的水添反応 / 有機金属カチオン種 / 担持ヘテロポリアニオン |
Research Abstract |
平成3年度の交付申請書に従って、修飾ヘテロポリアニオン担体の合成とその担体に有機金属カチオン種を担持した新しい担持ヘテロポリ化合物の設計・合成を行った。この研究によって得られた新たな知見は以下のようである。 1.Dawson型の修飾ヘテロポリアニオン担体[P_2W_<15>Nb_3O_<62>]^<9ー>について、そのNa_9塩を単結晶で単離し、X線構造解析を行った。三置換型Dawson構造が確認できた。 2.担体(Bu_4N)_9[P_2W_<15>Nb_3O_<62>]の合成については、Inorg.Synth.誌に投稿できるレベルにまで各段階の合成条件を詰めることができた。 3.この修飾ヘテロポリアニオン担体の上に有機金属カチオン種CODIr^+基およびCODRh^+基を担持したヘテロポリ化合物をそれぞれ(Bu_4N)_5Na_3[CODIr・P_2W_<15>Nb_3O_<62>]および(Bu_4N)_5Na_3[CODRh・P_2W_<15>NB_3O_<62>]の形で合成・単離することができた。 4.合成した二つの担持ヘテロポリ化合物はまだ単結晶としては単離できていないが、担体の段階で結晶化できるNa_9塩を合成スケ-ルで得られるような方法・条件を検討した。これは担持ヘテロポリ化合物の結晶化につながる。 5.二つの担持ヘテロポリ化合物の比較から、(1)有機金属種CODRh^+基やCODIr^+基が、単なる相手カチオンとしてではなく、修飾ヘテロポリアニオンの表面酸素に直接結合しており、非修飾のヘテロポリアニオンにはそのような担持できる能力がないこと、(2)均一系で担持ヘテロポリ化合物によるシクロヘキセンの触媒的水添反応が確認された。非担持の有機金属種単独の系では、同じ条件下で金属イオンが水素で還元されて系が不均一になってしまうこと、など合成面からも触媒作用の面からも、修飾ヘテロポリアニオンの担体としての効果が明らかになった。
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[Publications] K.Nomiya,et.al.: "PolyoxoanionーSupported,Atomically Dispersed Iridium(I)and Rhodium(I)" Inorg.Synth.,.