1992 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体ジアステレオマーの立体選択的生成に及ぼす不斉配位子の効果
Project/Area Number |
03640534
|
Research Institution | Osaka University General Education |
Principal Investigator |
久司 佳彦 大阪大学, 教養部, 教授 (40033906)
|
Keywords | 酸イミド / キラルアミン / パラジウム(II) / 白金(II) / 水素結合 / 四量体 / シッフ塩基 |
Research Abstract |
本年度は、まず、(1)環状酸イミドとキラルアミンを組み合わせた単座の系について、サッカリンを含むパラジウム(II)錯体について検討した。キラルアミンの回転異性体としては、ヒダントインの場合と同じくオープン型であり、フタルイミドで見られたクロズ型ではないことが判明した。一方、キラルアミンとハロゲンを組み合わせた白金(II)錯体の系についても検討した。この場合シス型の化合物において、分子間の特異な水素結合が形成され、四量体を形成し結晶していることが見いだされた。さらに、このシス錯体から出発して、フタルイミドを反応させたところ、予期に反して、トランス-ビス(アミン)ビス(イミド)型の、白金(II)錯体が得られた。(2)ヘリカルキラリテイを有する金属錯体ジアステレオマーの開発研究については、シス位にあるアゾメチン間の炭素一炭素結合の生成に関して、中心金属がコバルト(II)の場合についてもその合成に成功した。また、ナフチル基を用いた場合にパラジウム(II)、白金(II)について、金属一炭素結合を有する新しいタイプの四核錯体の生成を見いだした。(3)光学活性シッフ塩基をふくむ金属錯体ジアステレオマーの系については、ビス型の銅(II)錯体およびトリス型のコバルト(III)錯体について、結晶構造の詳細な検討をおこなった。以上、種々のキラル要素を一つの分子内に組み込んだ金属錯体ジアステレオマーの開発とその立体選択的な生成について、本年度の研究によりいくつかの新しい知見がえられた。
|
-
[Publications] Tatsuya Kawamoto: "Synthesis and Characterization of Trinuclear Metal Complex Showing Helical Chirality" Chemisty Letters. 297-300 (1992)
-
[Publications] Tatsuya Kawamoto: "Carbon-Carbon Bond Formation in Helical Nickel(II) Complex" Chemistry Letters. 893-896 (1992)
-
[Publications] Hiroshi Shimomura: "Rotamers of 1-Phenylethylamine Ligands in (R,S)-and(S,S)trans-Bis(suc)bis(amine)palladium" Chemistry Letters. 913-914 (1992)
-
[Publications] Tatsuya Kawamoto: "Cystal and Molecular Structure of Tetra-palladium Cluster with a C,N,S-Tridentate Ligand" Chemistry Letters. 1057-1058 (1992)
-
[Publications] Tatsuya Kawamoto: "Helical Bis[2-(ferrocenylmethyleneamino)benzenethiolato]Metal(II) Complexes(M=N:,Zn or Pd)" J.Chem.Soc.,Daton Trans.,. 3137-3143 (1992)
-
[Publications] Hiroshi Shimomura: "Rotamers of the 1-Phenylethylamine ligands in trans-bis(imidato)bis(1-phenea)copper(II) complexes" Inorganica Chimica Acta. 206. 201-208 (1993)