1992 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエゲノムを構成する中程度反複配列の同定と定量に関する研究
Project/Area Number |
03640540
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
原田 光 九州大学, 理学部, 助手 (40150396)
|
Keywords | 中程度反複配列 / キイロショウジョウバエ / トランスポゾン / ランダムクローン / in situハイブリダイゼーション / ゲノム構造 |
Research Abstract |
ショウジョウバエゲノムの17%が中程度反復配列DNAで構成されており、その3/4が可動遺伝因子、いわゆるトランスポゾンであるとされている。トランスポゾンは自然突然変異の主要な原因であり、適応進化や種分化に果たす役割についても関心をもたれている。また重複遺伝子(multi gene family)についてはゲノム進化の過程で、どのように作り出されてきたのかに興味がもたれている。本研究では以上のような視点からゲノムを構成する中程度反復DNAについてその種類と量について調べることを目的としている。キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)およびその近縁種であるオナジショウジョウバエ(Drosophila simulans)のλファージを用いたゲノムライブラリーを作製した。これからランダムにクローンを抽出し、in situ hybridizationによって唾腺染色体上の位置をマッピングすることにより、反復配列を含むクローンの同定を試みた。キイロショウジョウバエゲノムライブラリーからは約800のクローンを抽出し、このうち231個のクローンのマッピングを行なった。その結果89個の反復配列を含むクローンを同定した。これらはコピー数に関して明らかな二峰性を示し2〜9個の小数コピーを持つものと10個以上の多数コピーを持つグループからなっており、前者が61クローン、後者が287クローンであった。これらをプローブとしてオナジショウジョウバエの唾腺染色体にin situ hybridizationしたところ、前者のグループは染色体の相同場所にほぼ同数マッピングされるのに対し、後者では場所はまちまちであり、またコピー数も減少した。このことは前者の多くは重複遺伝子を含むものであり、また後者の多くはトランスポゾンであると推定される。現在これらのクローンについてその分子的な構造の解析を行い、既知のトランスポゾンとの照合、制限酵素地図の作製、一部の塩基配列の決定などを行なって進めている。
|
-
[Publications] Harada,K.,Kusakabe,S.and Mukai,T.: "Comparative study of P element activity in two natural populations of Drosophila melanogaster" Japn.J.Genet.66. 725-737 (1991)
-
[Publications] Harada,K.,Kusakabe,S.,Yamazaki,T.and Mukai,T: "Spontaneous mutation rates in null and band-morph mutaitons of enzyme loci in Drosophila melnogaster." Genetics.
-
[Publications] Yamaguchi,Y.,Harada,K.,Takano,T.S.and Yamazaki,T.: "Molecula Analysis of Spontaneous Gpdh null mutations in Drosophila melanogaster." Genetlcs.