1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640561
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
可知 直毅 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 総合研究官 (30124340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 敏統 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 主任研究官 (20214059)
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Keywords | 砂丘植物 / コウボウムギ / チガヤ / 個体群統計 / 種間競争 / マトリックスモデル / 栄養繁殖 / 種間相互作用 |
Research Abstract |
1. 1991年に茨城県阿字ケ浦の内陸砂丘に設置した永久方形区において、引き続きコウボウムギとチガヤのシュートをマーキングし、その位置を記録して1ケ月に1度の頻度でシュートの生存と成長を調査した。 2. 調査結果に基づき、シュートの空間配置の解析を行った。コウボウムギ、チガヤともそのシュートはランダム〜弱い集中分布を示した。弱い集中分布は両種の栄養成長様式を反映したものと考えられる。一方、ランダム分布はシュート間の相互作用を示唆する。 3. 前年度の成育期終了時におけるシュートの大きさと、今年度の成育期初期における新しいシュートの数と成長量との関係を調べた。その結果、コウボウムギにおいては前年度の成長量と今年度のシュートの数との間に正の相関が認められた。 4. チガヤの密度の異なる調査区において、コウボウムギのシュートの増殖率を比較したところ、チガヤの密度が最も高い調査区ではコウボウムギのシュートの生長率の低下がみられた。 5. 前年度と今年度のシュートの成長量から、栄養成長にともなうシュートの密度の経年変化を記述するシミュレーションモデルを作成した。コウボウムギについて適当なパラメータの値を推定してシミュレーションを行ったところ、シュート個体群は拡大を続ける結果となった。これは、シュートの純増殖率が1以上であることを意味するが無限に個体群が増殖することは現実には起き得ないので、なんらかの密度依存的なシュート個体群の増殖をコントロールする機構がなければならない。本年度は、特にこの機構の解明に主眼を置く。
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