1991 Fiscal Year Annual Research Report
耐塩性緑藻ドナリエラの蛋白質リン酸化による浸透圧調節
Project/Area Number |
03640565
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鳥山 尚志 東京大学, 応用微生物研究所, 助教授 (40013338)
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Keywords | Dunaliella / Ca^<2+>ー依存性プロテインキナ-ゼ / 蛋白質リン酸化 / 浸透圧調節 |
Research Abstract |
1)Dunaliella tertiolecta細胞破砕液の可溶性画分から硫安塩析、DEAEーToyopearl、PhenylーSepharoseおよびHydroxylapatiteカラムクロマトグラフィ-によりCa^<2+>依存性プロテインキナ-ゼ(CDPK)を900倍に精製し、酵素学的な諸性質を検討した。CDPKはμM付近のCa^<2+>により活性化され、その活性化にカルモデュリンやリン脂質を必要としなかった。CDPKはカゼイン、ミオシン軽鎖やヒストンIIIーSをリン酸化した。CDPKのカゼインおよびATPに対する見かけのK_m値はそれぞれ300μg/mlおよび11μMであった。CDPKの活性はカルモデュリン阻害剤であるcal midazolium、trifluoperadineやcompound48/80により阻害された。CDPKはCa^<2+>依存的に可逆的に疎水性が増大し、またDunaliella細胞から調製された膜画分に、μM付近のCa^<2+>存在下で移行し、EGTAにより遊離した。このことからCDPKがCa^<2+>依存的なトランスロケ-ションを行なうことが示唆された。CDPKはDunaliella細胞の膜画分のタンパク質を顕著にリン酸化したが、可溶性画分のタンパク質はほとんどリン酸化しなかった。2)細胞内情報伝達に作用する一連の阻害剤を培地に添加し、Dunaliella細胞の浸透圧調節への影響を検討した。プロテインキナ-ゼ阻害剤であるK252aは低浸透圧ショック下で細胞の形状回復を阻害し、プロテインホスファタ-ゼ阻害剤のカリクリンAは高浸透圧ショック下での収縮した細胞の容積回復を阻害した。細胞内Ca^<2+>をTMBー8等によりキレ-トした場合に細胞が徐々に膨潤し、容積調節に影響が生じた。3) ^<32>Pリン酸を培地に添加してDunaliella細胞のin vivoラベルを行った。細胞に高/低浸透圧ショックを負荷し、細胞全タンパク質をSDSーPAGEを行いリン酸化タンパク質を検索した。その結果、浸透圧の負荷に伴い特異的にリン酸/脱リン酸化されるバンドが観察された。
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