1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640567
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
星名 哲 金沢大学, 理学部, 助手 (50019486)
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Keywords | 活性酵素 / クロロフィル / 光化学系I / 閃光分光 / トリプシン / 反応中心 / 光阻害 / P700 |
Research Abstract |
光化学系I(系I)粒子を強光に曝したときの光阻害についてと、系I反応中心複合体をトリプシンで処理し、断片化した複合体の性質について調べた。 1.ホウレンソウの葉緑体を表面活性剤Triton X-100で可溶化して得られる系I粒子(PSI-200、Chl/P700=200)を室温で2時間、照射した。その結果、系Iの電子伝達活性(DCIPH_2→MV)は阻害され、未処理の約50%に減少した。また、クロロフィル(Chl)が退色し、未処理の約半分に減少した。一方、反応中心、P700は僅かな減少であった。PSI-200の懸濁液をアルゴンガスで置換したり、スーパーオキシド(O_2^-)のインジケーターであるチトクロームcの還元活性の測定より、光阻害には酵素分子が関与していること、光阻害の部位は第二次電子受容体、A1であるろうということが考えられる。PSI-200をHydroxylapatiteのカラムに吸着させ、Triton X-100でカラムを十分洗った後、溶出させた標品(HA-40、Chl/P700=40)では光阻害もChlの退色もほとんど認められなかった。 2.1.より、系I反応中心タンパク質に約100分子のChlが結合しているが、そのうち約60分子のChlはTriton X-100の存在下で遊離の状態か、ルーズに結合していると考えられる。それらのChlは光により酵素を活性化し(O_2^-または、^1O_2などの生成)、この活性酵素がA1を破壊するものと考えられる。系I標品にこのようなChlが存在すると、Chlの三重項状態が生じたりするため、速い光化学反応を正確に測定出来ないことがある。そのため、系I標品をHydroxylapatiteのカラムで精製して用いる必要がある。 3.系I反応中心複合体をリン脂質にリポソームの中に取り込ませ、トリプシンで処理した。未処理のものより分子量が小さくなったP700を含む2種類の複合体が得られたので、活性や色素の結合量などについて調べている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Watanabe,S.,Tamai,N.,Hoshina,S.,Sanada,Y.,Nishida,K.and Wada,K.: "The respiration dependent malate accumulation in leaves of a crassulacean acid metabolism plant,Kalanchoe daigremontiana Hamet et Perr." J.Plant Physiol.140. 61-68 (1992)
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[Publications] Hoshina,S.,Sue,S.,Wada,K.,Enami,I.and Itoh,S.: "Stabilization of iron-sulfur centers A and B in photosystem I particles by chemical cross-linking." Research in Photosynthesis(ed.N.Murata). (1993)
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[Publications] Hoshina,S.and Itoh,S.: "Photosystem I reaction center in oxygenic photosynthetic organisms:Current views and future. in Photosyntesis:Photoreactions to Plant Productivity" Oxford & IBH Publishing Co.(eds.,Y.P.Abrol,P.Mohanty and Govindjee), 32 (1993)